旅館業界では“あり得ない”週休3日 それでも「陣屋」の売り上げが伸び続けるワケ【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(4/4 ページ)

» 2018年10月04日 09時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]
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 これまでは、30分ごとや1時間ごとといったように、時間を決めて確認を行っていたが、浴室の利用時間は日によってまちまちだ。利用者数をベースとしたアラートにすることで、本当に必要なタイミングでスタッフが動けるようになった。さらに温泉の温度や水位もセンサーで測定しており、異常があればアラートが鳴るようにしている。

週休3日になっても、陣屋の売り上げが伸び続ける理由

 先端ITの活用による効率化のかいもあって、週休3日になっても陣屋の利益は伸び続けている。そして利益だけではなく、売り上げも伸び続けているというから驚きだ。第3の柱としていたブライダル事業が大きく伸びたこともあるが、2009年から続けてきた単価の向上が功を奏し、直近1年の売り上げは6億1300万円となった。底を打った2009年の2億9000万円と比べ、2倍以上にまで増えた計算になる。

photo 週休3日になっても、陣屋の売り上げは伸び続けている

 さらに陣屋“全体”の売り上げはこれだけではない。同社のシステムである「陣屋コネクト」を他の旅館業向けに外販する子会社「陣屋コネクト」を2012年に立ち上げており、その売り上げは約2億円(2018年8月期)にまで伸びている。陣屋本体と合わせ、グループ全体の売り上げは約8億円を超えた。

 立ち上げてからわずか6年で、グループ全体の売り上げの2割以上を占めるまでになった「陣屋コネクト」。自社向けに開発してきたシステムを外販することになったきっかけは、「従業員がシステムに満足してしまった」ためだったという。(後編に続く)

特集:Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜

 ビジネスのデジタル化が急速に進む今、事業や企業そのものを変えるために、これまでと異なる考え方や人材が必要になっています。

 システム企画と実装、業務部門とIT部門など、異なる部署や仕事の境界に立ち、それを飛び越えてつないでいく――そんな「越境」を通じて、さまざまな視点や考え方を得ることで、初めて変革を導くことができるのではないでしょうか。

 本特集では、越境に成功したり、挑戦したりする人間にスポットを当て、彼らが歩んできたキャリアやITに対する考え方に迫っていきます。

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