[NetApp] ハイエンドストレージ市場の構造を変えたいレージ関連ベンダ それぞれの戦略(3)(2/2 ページ)

» 2006年07月15日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]
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単一OSはストレージ問題の解決を容易にするのが目的

──仮想化をエンドツーエンドで実現することは、大きなトレンドだと思いますか?

 顧客は仮想化をいくつかのレベルで考えています。もちろんサーバ上にいくつかのサーバを構成するというアプリケーションレベルの仮想化もあります。

 顧客が求めているもう1つの仮想化は、こうしたホストからストレージへのパスの仮想化です。これを実現する技術はいろいろありますが、NFSはもっとも一般的なものだといえるでしょう。ブロックレベルでの仮想化では、当社は「V-Series」を持っています。

 さらにストレージ自体の仮想化については、ホスト側の仮想化とまったく同じ機能をもったものが求められます。従って、あるハードディスク群の上に複数の仮想ボリュームを設定し、即座に新たなボリュームを作成し、即座に破棄することができ、必要に応じてサイズを変更したいわけです。これは当社の提供しているFlexVolumeの考え方に合致します。これはホストの仮想化を行っている顧客の間で非常に人気があります。

 エンドツーエンドでの仮想化は、市場における重要なトレンドです。当社の戦略は、ホスト仮想化ベンダと協力して、当社の実現しているボリュームとブロックという2つの点での仮想化を、市場における自社の力として活用していくことにあります。

──幅広い製品群にわたって1つのOSを提供していくということですが、NetAppが採用しているCPUや能力には製品間で違いがあると思います。それをどう克服していきますか?

 多くの製品ではインテルのCPUを使っていますが、エントリ製品の一部ではブロードコムを採用しています。従ってチップは複数ですが、当社はこれを統一するソフトウェアを生み出していくことに価値を見いだしています。製品の幅が広がっていくにつれ、特定のプラットフォーム機能を必要とするソフトウェアも出てくるでしょう。単一のアーキテクチャですべての問題が解決するとは思っていません。しかし、ソフトウェア機能を可能な限り統一していくことは、顧客にとって大きな価値となります。従って当社では、あらゆる機会にこれを懸命に進めていくつもりです。

──単一OSの顧客にとってのメリットを改めて教えてください。

 顧客の抱える問題としてよく見られるのは次のようなことです。大きな企業で複数の遠隔拠点を抱えており、それぞれの拠点では専任担当者のいない中でサーバに直結されたテープドライブによりバックアップが行われています。するとテープがないとか違うテープを入れたとか、テープドライブが故障したとかいう問題が発生します。そこで、顧客からは遠隔拠点のテープをすべて取り払いたいという話をよく聞きます。

 顧客にファイバチャネルのSANがなければ、当社としてはIP上でこれら拠点のストレージを統合し、中央のストレージと遠隔拠点のストレージにミラーリングの関係を構築します。中央の大規模ストレージと遠隔拠点の小規模ストレージが同じアーキテクチャで構築されていると、いくつかのコマンドを実行するだけで、こうした関係が即座に設定できます。これは顧客にとって大きな利点です。遠隔拠点のテープを撤廃し、中央と遠隔拠点を同一のツールで管理できるようになります。しかし競合他社の場合、中央拠点へのミラーリング設定は、大規模なコンサルティングを必要とします。

──管理ツールのうち、新機能のFlexShareについてもう少し詳しく教えてください。

 FlexShareは、ストレージの統合で非常に面白い役割を果たす管理ツールです。ディスクリソースを統合し、これにFlexShareを適用した場合、スループットに関しても従来に比べて大幅な統合ができるようになります。

 例えば3つの業務部門がそれぞれ14台のハードディスクを使っていたとして、これを42台のハードディスクに統合したとします。業務部門の1つが運用しているデータベースのスループットが急増したなら、このデータベースが自動的に42台のハードディスクすべてにわたってストライプされるように設定できます。ほかのアプリケーションで急増状態が発生した場合も、ストレージシステムとして自動的に対応することができます。手動で設定作業を行う必要はありません。人間が決めるのは、スループットの急増状態にストレージを対応させたいかどうかということだけです。つまり、ストレージは通常、すべてのアプリケーションを平等に扱いますが、優先度に基づく自動運用も実現できることになります。

インテリジェンスでシェアを取りたい

──NetAppがEMCなどに追いつくとすれば、それはいつですか?

 市場環境ににもよりますし、相手があるのでなんともいえません。しかし、1ついえることがあります。競合他社はより多くのディスクを売ろうとしています。しかし当社はより多くのインテリジェンスを売り、より大きな問題をより少ないディスクで解決することで、彼らの市場を崩壊させることができます。当社がマーケットシェアをとりにいくとき、それは価値のマーケットシェアであり、売上金額のマーケットシェアではありません。当社は顧客の全体的な投資額を削減することもでき、こうした活動を通じてマーケットシェアをとっていきます。

 当社の望みは、競合他社よりはるかに高い伸び率で成長し続けることにあります。NASやiSCSIでは既に市場のリーダーですし、ファイバチャネル・ストレージでももっとも高い成長を記録しています。複製ソフトウェアでは第2位ですし、ストレージはもちろんのこと、セキュリティなどのニッチ市場にも投資を続けていくつもりです。

著者紹介

▼著者名 三木 泉


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