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幼い日の憧れ――“腕テレビ”を使ってみましたレビュー(1/3 ページ)

» 2004年05月14日 03時00分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 21世紀にふさわしい“腕時計型のテレビ”が登場した。エヌエイチジェイが4月に発売した注目の“腕テレビ”「VTV-101」をITmediaが入手。実際の使い心地などをレビューしてみた。

photo エヌエイチジェイの“腕テレビ”「VTV-101」

 腕時計型ガジェットというと、40代前後の読者は「スーパージェッター」を思い出すのではないだろうか。「流星号、応答せよ」と愛機を呼び出していた腕時計型“タイムストッパー”は通信機としてだけでなく、その名が示すように30秒間だけ時間を止められる機能も備えていた。その後、手塚治虫作のTVアニメ「ワンダースリー」や横山光輝作「ジャイアントロボ」などでも通信機能付き腕時計が活躍し、当時の子供たちは父親の腕時計をコッソリ拝借して左手に話しかけたりしていたものだ。

 腕時計型にTV(モニター)機能を備えたのは、ウルトラセブンのウルトラ警備隊員が装備していた「ビデオシーバー」。映画の世界では、ご存知ジェームズ・ボンドが活躍する「007」や、アメコミ育ちの実写版「ディック・トレーシー」などで、主人公の片腕には腕時計型TV(TV電話)がキラリと光っていた。

 そんな幼少期を過ごした人なら、“腕時計型”と聞くだけでソワソワしてくるのではないだろうか。カシオ計算機の腕時計型デジカメや日本IBMのLinux腕時計PC、NTTドコモの腕時計型PHSなどが登場したとき、筆者もオシリのあたりがムズムズしていたことを思い出す。

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 アニメ・特撮ヒーロー世代がワクワクしそうな腕テレビだが、筆者の記憶では、1982年にセイコーがモノクロの腕時計型テレビ「テレビウォッチ」を発売したぐらいで、その後は腕テレビを商品化するメーカーはいっこうに現れなかった。理由は様々あるだろうが、商品化が難しかった大きな理由の1つに「バッテリー駆動テレビの小型化の限界」があったのだろう。セイコーのテレビウォッチもレシーバー部(バッテリー/チューナー)は別体で、腕時計部は表示ディスプレイのみにすることでなんとか腕時計スタイルを守っていた(右写真を参照)

20年の歳月は腕テレビを小型軽量に

 おそらく20年ぶりとなる腕時計型テレビの新製品は、エレクトロニクスの進化とともに大幅な小型化を果たした。VTV-101は見た目こそ45.7(幅)×49.4(高さ)×18.2(奥行き)ミリ(リストバンドのソケット部除く)と手首測定式の血圧計みたいな大ぶりスタイルだが、このサイズにテレビチューナーとバッテリーまで内蔵したスタンドアロン仕様なのは立派だ。

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 TV用ディスプレイ上部に、時刻/日付/電池残量/チャンネル/音量などを表示できる反射型TN液晶ディスプレイも装備している。実売1万9800円前後という値ごろ感も魅力だ。

 この四角い本体をマジックテープ式のリストバンドに装着することで腕時計型スタイルが出来上がる。これだけでキレイに映ればいいのだが、テレビ放送の受信に必須のアンテナはさすがに内蔵できずに、付属のインナーイヤー型ヘッドホンがアンテナの役目も担当。このヘッドホンを装着しないと、テレビ画面はいつまでたっても砂嵐のままだ。

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 ただし、この付属ヘッドホンがとてもチープ。テレビ音声自体はモノラルなのでそれほど音質にこだわる必要はないのだが、耳に挿入する部分など100円ショップに売っているものかと思うほど。本体側のヘッドホン端子はアンテナ端子も兼ねる専用の端子形状になっているため、付属品以外のヘッドホンは使うことができないだけに残念だ。

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テレビとしての使い勝手は?

 気になる受信感度はというと、一昔前のポータブル液晶テレビといった感じ。建物の影に入ったり、屋内などではちょっとした体の動きでも画面が乱れる。

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