ITmedia NEWS >

spamをなくすためにはWebサイトを閉鎖するのが効果的?

» 2004年06月07日 19時43分 公開
[記事提供:RBB TODAY]
RBB Today

 日々、増加していくspamメールだが、これを防ぐ根本的な解決法がないのが現状だ。こんな中、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の行政法律部会が「spamサミット」でパネルディスカッションを開催した。

左から、WEB110運営事務局の吉川誠司氏、迷惑メール撲滅私的調査会の高崎真哉氏、NTTコミュニケーションズの甲田博正氏、ディーシーエヌの鎌倉忍氏、エスアールエス・さくらインターネットの田中邦裕氏、EditNetの野口尚志氏

 まず、EditNetの野口尚志氏は「現行では、行政処分を経ないと罰則を科せられない。行政処分を経ないで罰則が下せるようにする必要がある」とした。たとえば、各種法律や法令に基づいた表示を守っていないメールがあっても、最近のspamはヘッダを改ざんされていることが多いため誰が送信者か分からないうえに、差出人アドレスも信用できる物ではないため措置命令すら出せない。そのため、罰則を下すことができないのだ。さらに、「ISPのSMTPサーバではなく、自前のSMTPサーバで送るケースが多くなっている。そうなってくると、ログの保全がより難しくなる」と送信者の割り出しが困難なことを示した。そのためspamを送信することを明確に犯罪とし抑止しては、ということだ。

 NTTコミュニケーションズの甲田博正氏は、「1つのISPだけではどうにもならない問題」だと協力を求めた。たとえばブラックリスト(ここではspamを送ったユーザのリスト)などをISP間で共有し、入会できないようにする方法が考えられるが、「通信の秘密に関する情報を共有することになる」と慎重な考えだ。さらに、spamの定義を明確にしたり、ブラックリストの扱いを厳密に定める必要がある。このような考えもあり、「国内のISP全体をカバーするために事業者団体の協力も必要になってくる。そうなると、ブラックリストは第三者機関が管理するのが望ましいだろう」と提案した。

 ISPが行うspam対策の最終手段として、利用停止にするという措置が考えられるが、迷惑メール撲滅私的調査会の高崎真哉氏は「spamで宣伝されるサイトをつぶさないのはおかしい」とし、これまでとは違ったアプローチでspamをなくす方法を提案した。ほとんどのspamは、Webサイトへの誘導を目的にしており、このWebサイトの閉鎖を事業者に求めてはどうかということだ。さらにspamを送ったユーザを利用停止にしても、ほかのISPに移って同じような行為を繰り返すだけのため防げないとした。

 実は、同じようなテーマでInternet Week 2003でもパネルディスカッションが開かれたが、時間が足りないなど消化不良な点が多かったという。そのため、今回は2時間半もの時間を割いて単独で開催。しかし、観客からの質問が絶えないなど、まだまだ議論が不足だったようだ。