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児童オンライン保護法は違憲の可能性――米最高裁判断

» 2004年06月30日 08時50分 公開
[IDG Japan]
IDG

 ネットのアダルトコンテンツから子供を守ることを目的とした米児童オンライン保護法(COPA)が米国憲法違反に当たるかどうかが問われている裁判で、米連邦最高裁は6月28日、下級審の仮差止命令を支持し、同法が憲法違反に当たる可能性があるとの判断を示した。もっと緩やかな規制で子供を守ることが可能な方法が存在すると指摘している。

 この日の最高裁の判断は5対4の多数決で下された。これに先立ち米連邦控訴裁は、同法の執行に対する仮差止命令を言い渡している。同法は1998年に制定され、「未成年に有害な」コンテンツをオンラインに掲載した者に対し、1日あたり5万ドルの罰金と、6カ月の禁固刑を定めている。今後裁判は控訴裁に差し戻され、同法が米国憲法修正第一項に違反するかどうかが審理される。

 この裁判は、人権擁護団体の米国自由人権協会(ACLU)がアシュクロフト司法長官を相手取って起こした。原告側は、性病についての情報を提供しているWebサイトなど、複数の発行物を代表している。

 多数判決を下したアンソニー・ケネディ判事は子供をアダルトコンテンツから守るためのもっと緩やかな規制方法として、フィルタソフトや誤解を招くドメイン名を禁じる法律、子供に安全な「.kids」ドメイン制定の法律などを挙げている。1998年のCOPA制定以来、新技術の登場でフィルタソフトも進歩した可能性があると同判事は指摘、次のように記している。「フィルタソフトの効果に関する証拠には大きな開きがある。インターネットの技術は急速に進化している」

 COPAでは米国外で提供されているWebサイトから子供を守ることができないため、フィルタソフトはCOPAよりも効果が高そうだと、ケネディ判事は述べている。

 一方、少数意見を述べた判事は、同法は単にポルノ素材のパブリッシャーに対し、コンテンツの閲覧に年齢制限をかけることを求めているにすぎないと論じている。同法では、真剣な説明がないまま未成年にとってアート的、政治的、科学的な価値がない素材のみを禁止しているにすぎず、性病情報や性教育のサイトは同法の適用対象にはならないというのが、スティーブン・ブレイヤー判事の意見だ。

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