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» 2004年07月22日 10時40分 UPDATE

「長時間駆動も実現、残るハードルはコスト」――モバイル向け燃料電池の登場は近いか

燃料電池を搭載したモバイル機器の登場が見えてきた。開発を進める日立によれば、電解質膜のコストさえクリアできれば早期の製品化が可能だという。

[渡邊宏,ITmedia]

 KDDIが日立および東芝と搭載携帯電話の開発に着手したほか、NOKIAが搭載のBluetoothヘッドセットを試作東芝が世界最小・親指サイズの開発に成功するなど注目を浴びている燃料電池。

 7月22日・23日に行われる日立ITコンベンションでは、同社が以前から取り組みを進めているモバイル機器向け燃料電池が展示されている。同社によると、長時間の駆動を実現するなど技術的な問題はほぼクリアされ、後はコストダウンが問題となっているようだ。

 今回展示される燃料電池は、nano tech 2004にて展示されていたものと同様のカートリッジ方式。「直接型メタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)」と呼ばれる、メタノール水溶液と空気を直接電極に供給して発電する方式が用いられている。

 「以前の製品よりも電解質膜の性能を上げ、長時間の駆動を実現した」(同社)というように、4000時間を超える連続発電時間を実現。開発した電解質膜を用いた燃料電池ならば、PDAでほぼ1日、ノートPCでも8時間程度の駆動を実現するという。

photo 電解質膜の改良によって長時間の発電が可能に

 試作されているノートPC用の燃料電池は50ccのメタノールを燃料として搭載、B5モバイルタイプのPCをターゲットとしている。同社製PCへの搭載のみならず、PC各社へ追加バッテリーの形で提供することも検討されている。

 「外出先で利用頻度の高い無線機能を利用するとバッテリーの消費は激しい。カートリッジで簡便に電力補給ができる燃料電池はモバイル製品に適していると考えている」(同社)。

photo ノートPC用燃料電池のモックアップ。液晶の背面にくくりつける形が想定されている
photo PDAタイプならばほぼ1日の駆動が可能になった。

 燃料カートリッジについては、既に使い捨てライターメーカーの東海と共同で量産化に向けての取り組みを進めており、実用化に向けての準備は着々と進んでいる。3月に行われたnano tech 2004では「2005年の商品化を目指して準備中」とのことだったが、今回改めて尋ねたみたところ「来年ではちょっと難しいかも」との返事。

 「技術的には明日にも製品化できるが、まだコスト面での折り合いがつかない。ノートPC用で4万円程度まで引き下げたい」(同社)とのこと。

 ややトーンダウンした返事が残念だが、コストを押し上げているのは電解質膜で、全体コストの半分近くを電解質膜のコストが占めているという。その問題さえクリアできれば早期の製品化もあるそうだ。

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