東芝、世界最小・親指サイズの燃料電池を開発

» 2004年06月24日 19時07分 公開
[ITmedia]

 東芝は6月24日、世界最小のダイレクトメタノール(メチルアルコール)燃料電池システムを開発したと発表した。22(横)×56(縦)×9.1(厚さ)ミリの親指サイズながら出力は100ミリワット。小型オーディオプレーヤーなら最大約20時間の駆動が可能という。2005年中の実用化を目指す。

 燃料ポンプや送気ファンを使用しないパッシブ型セルを採用した。内蔵タンクに入れるメタノールは2ミリリットルまでで済んでいる。濃度99.5%以上の純メタノールを使うことで、希釈したメタノールを使うシステムに比べ燃料タンクの容積を10分の1以下に小型化できた。

 パッシブ型は、燃料を希釈循環する機構がないため、長時間駆動には高濃度なメタノールが必要。だが高濃度メタノールの場合、分解前のメタノールが発電することなく酸素と反応してしまう「クロスオーバー現象」が発生し、性能が低下する問題がある。このため10%以下に希釈したメタノールを使うのが一般的だが、その分タンクが大型になってしまい、小型機器に装着するのは難しくなる。

 東芝はナノレベルの触媒微粒子を高密度配置する新構造の電極を採用し、メタノールの分解性能や水素と酸素の反応性を高めるなどし、純メタノールでもクロスオーバー現象による性能低下を防いだ。また出力効率も従来比約5倍に向上した。

 同社は携帯電話やノートPC向けに、ポンプやファンを使用するアクティブ型燃料電池を開発してきた。これに今回開発したパッシブ型も含め、さらに幅広い用途に対応できる燃料電池開発を進めていく。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月06日 更新
  1. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  2. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 「健康保険証で良いじゃないですか」──政治家ポストにマイナ保険証派が“猛反論”した理由 (2025年12月06日)
  5. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  6. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  7. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  8. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  9. ドコモも一本化する認証方式「パスキー」 証券口座乗っ取りで普及加速も、混乱するユーザー体験を統一できるか (2025年12月06日)
  10. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー