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ホームシアターインストーラー訪問記――「秋葉原サウンドクリエイト」編劇場がある暮らし――Theater Style(3/3 ページ)

» 2004年08月20日 22時43分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 「リフォームの場合、それほどきれいに仕上がらないのでは? と思ってらっしゃる方も多いのですが、実際には新築並みに仕上げることもできます。たとえばリアスピーカーを天井から吊り下げる工事は、意外に簡単なんですよ。天井裏に配線を通すのは、とても簡単な工事ですし低コストです。難しいのは配線を壁伝いに立ち上げることで、電気配線で配管がいっぱいでうまくできないケースが多いんです。その場合は先ほど申し上げたように、部屋の隅に気付きにくいデザインでボックスを取り付けるわけです」

 「ただし、本格的なリフォームになると、新築時よりもやや予算が多めにかかってしまいます。一概には言えませんが、既存の内装を取り除いて新たに施工する場合、既存設備の撤去や配線のやり直しなどが1日では終わりません。様々な職人が丸一日、4〜5人ぐらい同時に作業するため20万〜30万円ぐらいは余分にかかると考えた方がいいでしょう」(金野氏)

ホームシアター・リフォームを依頼する際のポイント

 では、単なる機材のインストールではなく、新築時のインテリアも含めたデザインの依頼やリフォーム相談まで依頼するとすれば、どのような手順を踏む必要があるのか。より良い結果を得るために必要なポイントとは?

 「新築の場合ですと、どのようなスタイルでその部屋を利用したい、あるいは機材やソフト類の収納をどのようにしたいのか、リモコンなどの操作系をどうやってまとめたいかなどを大まかに方針として決めた上で、部屋の図面を持ってきて頂けるといいでしょう。それらの情報と予算に合わせて、デザインや建て付け家具の提案を行うことができます」

 「たとえば映画を見たい、各部屋にBGMを流すシステムを構築したい、プロジェクターで投影したい、ソファーの位置はどのあたりにしたいかなどです。お年寄りや子供も使いたいといった場合に、シンプルな操作が可能な学習リモコンを別途用意するといった提案も行えます。またリビングルームの場合は、主婦がもっとも長い時間を過ごす部屋になりますから、奥様もプランニングに同伴して頂ける方が話がスムースに進むでしょう」(金野氏)

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 そこまで大がかりになると、リビングのデザイン全体を統一したいと考える人も出てきそうだ。インテリアデザイナーにデザインコンセプトの作成を依頼すると、とてもコストが高くなる、というイメージを持つが、実際にはどの程度の予算でデザイナーに依頼できるのか?

 「リフォームにかかる経費の10%程度がデザイン料の相場ですが、内容や総額によっても異なります。家具の選定、壁や床の材料選定や配色、仕上げなどのデザインコンセプトを煮詰め、建て付け家具の設計なども含めたトータルのデザインとなると、10〜25%ぐらいになる場合もあります。逆に純粋に部屋全体のイメージを作るためのアドバイスだけならば、ずっと安価に済むケースもあります」(金野氏)

 ではリフォーム時の工期はどの程度必要なのか?

 「簡単なスピーカーのインストールだけならば1〜2日で終わりますが、リビングルーム全体の工事となると一週間から10日ぐらいです。リビングルームだけならば、家具さえ部屋から出しておけば他の部屋はそのままお使い頂けます」(金野)

 ホームシアター・リフォームを依頼する上でのコツのようななものは?

 「お客様からの要望は“こんな感じがいいなぁ”と、大まかなイメージで伝えて頂ける方が良い結果が出るでしょう。あまり細かく機能面の指定が多くなりすぎると、機能に縛られてデザインの自由度が下がってしまうためです。きちんと“やりたいこと”と“仕上がりとして期待するデザインイメージ”を伝えて頂き、それに合わせてベストな手法を我々が提案する方が良い結果が得られやすいと思います」(金野氏)

ホームシアターに取り組むなら

 さて、最後に金野氏にホームシアター構築に際しての心構えについて伺った。低予算のスピーカーインストールから、新築時のリビングシアター構築まで、予算はそれぞれ、事情はそれぞれだが、いずれにせよ家族の生活を変える一大事でもある。それはインストーラー自身が持つポリシー/コンセプトとともに重要なものだと思う。

 「最初に申し上げたように、我々は自分たちで良いと思ったものだけを提案していきたいと考えています。従来はコダワリの強い、ある程度予算をかけてでも、より良いものを求める顧客が中心でした。もちろん、そうした顧客層は大切にしていきたいのですが、よりコストパフォーマンスを重視して、顧客層の幅を拡大していきたいと考えています」

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 「何より自分たちが、コダワリを持って良いと考えるブランドや製品を絞り込んでいますから、お客様も“リビングルーム・シアター”に対して強いコダワリを持って頂ければいいなとは思います。専用ルームでもリビングルームでも、数10年もしくは一生住む家を作る、あるいは改装するのですから。家を建てる時には、キッチン、バスルーム、ベッドルームなどを一生使うことを考えて選びますよね。ホームシアターもまた、自宅のエンターテインメントを担う重要な要素ですから、どんなクルマが好きか、どんな家具がいいと思うか、そして生活スタイル、生活のクセはどうなのか。そうしたことを踏まえた上で、どのようなものがベストかを考える必要があります」

 「ホームシアターを構築しよう、インストーラーの力を使いたい。そう考えて頂けたなら、これからずっと長い時間をその空間で過ごす、ということを意識して、コダワリをもって取り組んで頂ければと思います」(金野氏)

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