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+の老舗、リコーが考える「きれいな」映像年末、このDVDメディアで映像を残す(3)(2/2 ページ)

» 2004年12月15日 00時02分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 もうひとつ、同社の掲げるポイント「書き込みの高速化」についても「記録材料のチューニング」と「メディアの物理的な精度向上」によって対応している。

 「適切なパワーでレーザーが出ていても、記録感度が悪いと高速記録時のトラブルの原因になります。その記録感度を左右するのは記録材料なので、高速記録に対応できる設計を行っています。あと、高速回転するメディアがゆがんでいたりすると、回転中にデータの“飛び”が発生してしまいます。これには、製造工程における精度の高さを保つことで対応しています」(大石氏)

ハードコートの導入は様子見――耐久性は基礎性能でカバーできる

 TDKの「超硬」でユーザーへの認知度も高くなった記録面へのコート処理。記録面を物理的に強くしようというアプローチはユーザーの目にも分かりやすく、大きなアピールポイントとなっている。こうした処理を含めたメディアの「保存性」について、同社ではどのように考えているのだろうか。

 「RWのように繰り返し使うというメディアの場合、人によっては、ハードコート処理は高い付加価値を持つのではと考えています。ですが、ハードコート処理に必要なコストの問題もありますし、製品の受け入れられ方を見ながら今後検討していきます」(同社 パーソナル販売事業部 第一販売室 主任 小野修平氏)

 特別な表面処理はコストの問題もあり、現在のところ導入は検討していないというが、基礎性能の高さで耐久性については十分なレベルの製品を提供できるという。

 「耐久性という点では、“何年使ってもらうにはどういった基準のものが必要か”、というノウハウをCD-R製造のころから蓄積しており、色素についても独自の耐久性を含めたテスト基準をクリアしたものしか使用していません」(大石氏)

 具体的な保存可能な年数については「内部では何年、条件によってはそれ以上も保存できるというデータがありますが、データの保存性を完全に保証するという性格のものではないので……」と明言を避けた大石氏だが、「数年というようなレベルではありません」という。また、一部メーカーが採用しているラベル面の紫外線保護は、「印刷面はほとんど光が透過しないはずなので、(保護がなくても)あまり気にすることはないと思います」と述べた。

“+の老舗”としてのリコーが目指す方向

 DVD+R/RWは、市場への投入がDVD-R/RWより後発になってしまったこともあり、PCの世界はともかく、日本のAV市場では大きなシェアを占めるに至っていない。対応レコーダーも少なく、現行機種ではソニーの一部製品が対応しているのみだ。

 DVD+R/RWを推進するDVDアライアンスのメンバーでもある同社にとって、日本国内でDVD+R/RWがマイノリティになってしまったことは痛手であったことは想像に難くない。それは冒頭のコメントにも現れている。

 しかし、同社はあくまでもポジティブだ。

 「+についてはライセンサーの立場でもあるので、2層や高速記録などの新規格が登場したときに、いち早く製品を市場に投入することができます。それに、PC分野で+がユーザーに受け入れられたのは、品質の高さがあってこそだと考えています。その“品質の高さ”を-Rを始めとした録画用メディアの分野でも伝えていければと思います」

 「PCの世界でそうなったように、AVの世界でもメディアの種類を問わない世界がやってくると思います。そうした時、+で培った技術をより多くの人に使ってもらえると考えています」(大石氏)

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