コラム
» 2005年03月09日 18時40分 UPDATE

トップ交代劇に思う“ソニーの目指す方向性” (1/3)

先日ソニーが、トップ人事刷新を発表した。携帯型デジタルオーディオ事業での“失敗”や、DVDレコーダー・薄型テレビへの対応の遅れなど、最近は首をかしげたくなる事業戦略が目立ったが、創業時に掲げられた「理想工場」はどこへ向かうのだろうか。

[本田雅一,ITmedia]

 エレクトロニクス企業としてはもっとも高いブランド力を誇るソニーが、業績不振のままトップ人事の刷新を発表した。

 今回の人事は、個人的にも特に感慨深いものだった。出井伸之会長兼グループCEOは、記者会見で質問をしたり、記者会見後の会話の中で一言程度、言葉を交わしただけだが、安藤國威社長や久夛良木健副社長とは、何度も少人数のグループインタビューや直接のインタビューで言葉を交わしていた。

 そもそも、僕は1990年代後半のソニーにあまり興味を持っていなかったこともあり、取材対象としてのソニーとは、あまり付き合いが無かった。それがトップから製品担当者まで幅広く、細かくインタビューするようになったのは、デジタル化により猛烈な速度で進むコモディティ化の波に対して、ソニーのやり方による新しい付加価値の創造を期待したからだ。

 しかし最近は、グループ全体の目指す方向性には同調できる部分はあっても、個別の事業に関しては首をかしげたくなる事も多かった。

記事にできなかった初代HDDウォークマンのインタビュー

 昨年、ウォークマン20周年記念に大々的なイベントを開催し、新しい世代のウォークマンをデビューさせるとのアナウンスがFAXと電子メールで届いた。しかし当日、海外出張だった僕は、結局、このイベントには参加できず、初代HDDウォークマン「NW-HD1」を目にすることができなかった。

photo 初代HDDウォークマン「NW-HD1」

 そこで製品担当者のインタビューをセッティングしてもらい、インタビュー前にNW-HD1を貸し出してもらい、製品や戦略に対する疑問を整理してから仕事に臨もうとした。時はすでにiPodがポータブルオーディオ市場での足場を固めつつあった頃。個人的には“ソニーがウォークマンブランドで挽回を図るにはギリギリのタイミングだ”と考えていた時期だ。

 ところが、試用している段階から製品があまり魅力的ではない事がわかってきた。

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