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次世代著作権保護技術を見据えた「賢いAV機器選び」コラム(3/3 ページ)

» 2005年07月31日 02時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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音声出力の制限は?

 一方、音声出力に関しても、いくつかの質問をメールで受けた。

 以前にもお伝えしたことがあるが、次世代光ディスクではDolby Digital Plus、DTS-HD、MLP、リニアPCMといったフォーマットが利用でき、それぞれマルチチャンネル音声での収録が可能だ。

 ただしいずれも、そのままのフォーマットでは従来のS/PDIF端子(同軸もしくは光ケーブル対応)からは出力できない。デジタルでの出力を行う際は、HDMIもしくはiLINKでの接続に限られる。いずれもHDMIはHDCPで、iLINKはDTCPで暗号化されるが、S/PDIFでは帯域が不足する上、セキュリティ上の問題もあるからだ。

 では現行のAVアンプでは、これらのフォーマットは全く対応出来ないのだろうか?

 アナログの音声出力ならば上記の制限はかからないため、プレーヤーが上記フォーマットのデコードに対応していれば、大きな問題はない。ただし独立7.1チャンネルの収録モノが将来的には多くなるだろうから、アナログマルチチャンネル入力は7.1チャンネル分ある事が望ましい(5.1でも問題はないが)。

 次にS/PDIF端子からも、互換信号はきちんと出力される。Dolby Digital Plusはリアルタイムのトランスコード機能により、640KbpsのDolby Digital(AC-3)信号へと変換される。このビットレートは通常のDVD-Videoが収録しているDolby Digitalの1.5倍に相当するもので、既存のAVアンプユーザーも音質向上の恩恵を受けることが可能だ。

 さらにDTS-HDには、DTSコアパケットがフルレートで含まれている。プレーヤはS/PDIF端子に対してDTSコアパケットをそのまま出力するため、この場合も既存AVアンプでそのまま対応可能だ。通常、DVD-Videoに収録されているDTS音声はハーフレートだが、DTS-HDに含まれているのはフルレートのため、ビットレートにして2倍、1.5Mbpsの高音質ストリームでの再生が可能ということで、こちらも互換信号ながら現在よりは改善される。

 さらに既に発売されているHDMI 1.1対応のAVアンプは、アンプ自身に上記のフォーマットを再生するデコード機能は存在しないが、24ビット96KHzのリニアPCMマルチチャンネル音声は伝送可能だ。つまりプレーヤー側にデコーダ機能があれば、リニアPCMに変換してからHDMIで出力すればいい。

 将来的にはAVアンプ側にデコード機能が搭載されるようになるだろうが、そのためにはHDMIのバージョンアップも同時に必要になる。現時点ではHDMI 1.2あるいはHDMI 1.3あたりで盛り込まれる予定だが、少なくとも年内に対応機器が登場することはないだろう。

 ユーザー側はAVアンプでの対応にこだわるよりも、アナログ接続もしくはHDMI 1.1経由での再生を前提に考えるのが良いと思う。プレーヤー側にデコード機能が必須となるが、次世代光ディスクにおいてDolby Digital PlusとMLPへの対応は必須となる。また、ここまで音にこだわるユーザーが使う機器ともなれば、DTS-HDデコーダも搭載する製品がほとんどだろう。したがって(将来登場する)次世代光ディスクのプレーヤー選択を誤らなければ、特に大きな問題はないはずだ。

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