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「iPod課金」への一家言コラム(1/2 ページ)

» 2005年08月02日 08時52分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 音楽著作権関係の話題は尽きることなく議論されているが、7月28日に行われた音楽関係7団体による会見の席上、団体側の主張を聞きながら考えていたことがある。

 主張された内容は記事を参考して欲しいが、要約すると「音楽を野放図にコピーされては作曲者や演奏家は潤うことなく、創造のサイクルは守られない。複製を全否定するわけではないが、複製に見合う対価が得られない状況には賛同できない」ということだ。

 確かに、コピーがはびこってしまえば正規の料金を支払って音楽を入手する人は減ってしまい、結果として音楽産業が衰退の方向に向かってしまう。ただ、7月28日に行われた著作権文化審議会 法制問題小委員会の席上で先日の会見にも出席した団体関係者から「ガチガチのコピー禁止はどうかと思う」という発言があったように、完全なコピー禁止も音楽に触れる機会を減らし、音楽産業の衰退を招きかねない。

 「権利者の利益保護とユーザー利益、そのバランスを取ることが大切」

 レーベルや権利者団体、録音/再生機器メーカーの複数関係者がそう語るように、完全なコピーフリーも、完全なコピー禁止も、あるべき姿として望まれていない。

 現在はそのバランスが崩れていると考えたからこそ、音楽関係7団体は会見を開き、意見を述べたのだが、「iPodからも補償金を取る」という行為は、果たしてそのバランスを是正するものとしてふさわしいのだろうか。

“負担”とは金銭だけなのか

 「CDからMDへコピーするのも、CDからiPodにコピーするのも行為として変わらないから、iPodが補償金制度の対象となっていないのは不公平だ」

 権利者団体側がこう考えるのも無理はない。iPodはフォトビューワやポッドキャスティングのリスニング、データストレージとしての利用なども可能だが、あくまでも音楽再生機として考えるのにふさわしいデバイスであり、ある程度は妥当性がある主張といえるだろう。

 しかしCDからではなく、音楽配信から曲を入手した場合にも、果たして同じ妥当性が存在するのだろうか。

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