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3時間前までさかのぼって録画できる、ビクター「DR-MH300」を試すレビュー(4/5 ページ)

» 2005年09月12日 14時13分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 ビクターは、長時間録画モードの画質改善に早くから着手したメーカーだ。SP以下のビットレートで一気にハーフD1(352×480ピクセル)まで解像度を落とすのではなく、LPのビットレートまで3/4 D1(540×480ピクセル)、2/3 D1(480×480ピクセル)と段階的に画質とのバランスを取りながら解像度を確保している。

 しかし、すでにLPモードまでのD1解像度化(720×480ピクセル)は松下電器産業や東芝などが導入しており、実用十分な画質を得ている。またD1とハーフD1間の4/5 D1、2/3 D1といった解像度はDVDビデオ規格から外れており、DVDビデオとしては高速ダビングが行えないというデメリットもある。「親切設計」をうたう製品であれば、むしろ積極的にLPモードまでのD1解像度化を勧めるべきだったのではと思う。

 操作系も部分部分は親切だと思うのだが、まどろっこさを感じる部分も多い。たとえば再生ナビからは行えるのは本当に“番組の再生”のみで、番組の削除もダビングも行えない。いわゆるサブメニューのような概念を持たないからで、分りやすさのためのポリシーとも考えられるが、たとえば再生ナビで番組一覧を見ながら「あ〜、これもうみたから消そう」といった場合でも、再生ナビを完了して編集ナビを呼び出して、という動作が必要になる。各ナビ機能を終了しないと別のナビ機能を呼び出せない点も、面倒さに拍車をかけている。

 リモコンは、できるだけ1つの機能を1つのボタンに割り当てようとしたスタイル。比較的コンパクトなのはいいのだが、今ひとつボタンレイアウトにメリハリがなく、機能の階層を戻るため、利用頻度の高い「リターン」ボタンを押すつもりで、隣接したボタンを押してしまうことも多かった。指の届きやすい位置にある「トップメニュー」「メニュー」は実はDVDビデオ専用だったりと、利用頻度という点で疑問が残るボタン配置もある。最新のDIGAシリーズのような思い切ったボタン数の削減も、それはそれで“まどろっこしさ”を感じたりするのだが、リモコンの使い勝手はもう少し配慮して欲しいと思う。

photo 基本デザインは同社のAV機器と共通で、比較的コンパクト。カバーされたボタンなどはなく、各種機能をほぼダイレクトに呼び出せるようにボタン数は多い。しかしボタン配置やサイズのメリハリに欠け、たとえば手探りで操作する場合には戸惑いそう

メディアは選ばないが、制限もあるダビング機能

 ダビングはDVD-R/DVD-RW/DVD-RAMに対応している。CPRM対応のDVD-Rメディアへコピーワンスコンテンツのダビングも可能であり、2層メディアに対応していない点を除けば他社製品と同等の水準だ。ダビング速度もDVD-Rが最大8倍速といわゆる8倍速世代だが、現時点においては2層メディア(DVD-R DL)が非常に割高なこと、16倍速対応のDVD-Rメディアもまだ8倍速対応メディアとの価格差が大きい点などを考慮すれば、とくに実用面で不満が出ることもないだろう。

 DVDからHDDへのダビングもサポートするが、等速ダビングのみで無劣化の高速ダビングは行えない。あまり重宝する機能だとは思わないほうが良さそうだ。

 DVDビデオとしてのダビング時には追記が可能でファイナライズは別途行うタイプ。ファイナライズは「設定」メニューの中にあり、これは親切とは思えない。本機でダビングし、再生するだけであればファイナライズは不要なのだが、最終的には行っておかないとまずいのだから、ダビングと同時にファイナライズまで行うこと「も」可能にした方が親切だし、本製品のキャラにも合っていると思う。

 なお、2重音声、LPモード、FR155〜FR240で録画した番組、そして部分削除や分割を行った番組、さらにプレイリストからはDVDビデオへは高速ダビングができない。プリセットの画質モードであるLPモードで録画した番組がDVDビデオへ高速ダビングできないのはちょっと考えモノだ。LPモードが一般的なハーフD1ではなく、2/3 D1解像度とすることで解像度を高く維持しているからだが、これではむしろ害のほうが大きいと思う。本機はDVD-RへのDVD-VRであれば高速ダビングは可能になるが、再生互換性を考慮すると、やはり安価なDVD-RへDVDビデオで保存したいと考える人が多いはずだ。

photo ダビングは、先に「高速ダビング」「ぴったりダビング」(メディア残量に合わせて再エンコードダビング)、「お好みダビング」を選択してからダビングしたい番組を選択。番組選択(画面右)も再生ナビとほぼ同じ画面レイアウトで、選択した番組がDVDメディアをどれ位消費するかが上部に表示されるなど、使い勝手は悪くない。だからこそ、高速ダビングと予約録画が並行できない点、高速ダビングの制限がもったいない

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