コラム
» 2006年10月04日 09時25分 UPDATE

CEATEC JAPAN 2006:本当にSEDは世に出てくるのか (1/3)

SEDの可能性や素性の良さは誰もが認めるところ。だが果たして本当に世の中に投入されるのだろうか? SED開発者へのインタビューを通じて出荷スケジュールを確認するとともに、フルハイビジョンSEDの画質をリポートしてみた。

[本田雅一,ITmedia]

 今年春に発売延期を発表。そして今回のCEATECで来年中の発売が発表されたSED。その可能性や素性の良さは誰もが認めるところだが、果たして本当に世の中に投入されるのだろうか? SEDブースに展示された55インチのSEDディスプレイは、平塚にあるSEDのパイロットラインにて、量産向けプロセスを用いて製造された初のフルハイビジョンSEDだ。

photo CEATECのSEDブースで展示された55インチのフルハイビジョンSED

 その出荷スケジュールを確認するとともに、初めて公開されたフルHD SEDの画質をリポートしよう。昨年のCEATECでインタビューに応じていただいた、東芝 SED開発・事業推進プロジェクトチーム事業企画担当参事の森 慶一郎氏のコメントを交えながらコラムを進めていきたい。

 まず出荷スケジュールに関しては、「福間(SED社長)がアナウンスした通り」(森氏)というように、2007年12月に平塚工場で55インチフルHDパネルの量産を開始。2008年中に元は東芝のブラウン管工場があった姫路で、本格量産を開始する。

 そもそも、これまで何度かSEDの出荷が延期されてきたのは、わずか2ミリのスペースに10万ボルトの電圧をかけて電子を放出し、蛍光体を発光させるというSEDの技術的な難しさがあったからだ。同様の原理を持つFEDも含め、この手の技術はいずれも実用化のめどが立っていない。その中で当初、2005年の出荷と言われたこと自体が、ほとんど奇跡のようなものだった。

 それが何度かの延期を経て、昨年のCEATECで自信を持って出荷予定をアナウンスしていたのは、量産の目処が技術的に立ったからだろう。誰もすすんで狼少年になりたいわけではない。にもかかわらず、今年春にも再延期が発表された理由を、SED側は明らかにしていない。

photo 東芝 SED開発・事業推進プロジェクトチーム事業企画担当参事の森 慶一郎氏

 だが、噂によれば、歩留まりを上げていく過程でどうしても変更しなければならないプロセスが見つかったのが直接的な原因。その歩留まり阻害要因を排除するには、プロセスそのものの大きな変更が必要になった。プロセスを変更するぐらいならば、(その時点での)最終プロセス決定後に蓄積した高画質化のための工夫を、最初の世代から盛り込もうと大規模な変更を施した……。と、以上はあくまでも業界内に流れた噂だ。

 では実際にはどうなのか?

 「すべてをお話できるわけではありませんが、延期の理由は主にコストです。画質に関して言えば、以前も今も、狙っている画質は同じ。しかし、量産レベルの歩留まりにまで上げていき、最終的に事業として成立させるために、製造プロセスの改良を行いました」(森氏)

 否定とも肯定とも言えない内容だが、実際に展示された55インチフルHDのSEDを見ると、そんなことはどうでも良くなってくる。すでにWXGA解像度の36インチのSEDは、東芝あるいはキヤノンが、様々な展示会で見せているが、今回のCEATECで披露された55インチSEDからは、36インチ時とは次元の異なるインパクトを受けた。

 コントラスト比のスペックは昨年の10万対1から5万対1に下がっているが、ここまで来ると細かい数字はあまり意味を持たない。コントラストが高いのはもちろんだが、階調が実に滑らかで、色相が回転しながら輝度が変化するような絵柄でも、全く不安無く“当たり前に”美しい映像が、美しいまま、一切のディテールを失うことなく見通せる。

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