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スライドボディの“ネットワーク電子辞書”「DB-J990」の狙いインタビュー(2/2 ページ)

» 2007年02月07日 12時33分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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“らしさ”を見せる辞書連携

 DB-J990が“らしさ”を見せるのは内蔵辞書との連携だ。本体へ取り込んだコンテンツで分からない言葉や単語が出て来た場合には、「ジャンプ」キーでその箇所を指定し、本体右側に用意されているスティックを押し込むと内蔵辞書を引くことができる。英単語を指定すれば、英和辞書ないし英英辞書を引き、日本語を指定すれば和英辞書を引ける。これによって、英文の電子ブックやニュースを容易に読み進められる。

photophoto RSSで入手した英文のニュースで分からない言葉があれば、即座に辞書を引いて調べることができる

 最近では電子辞書の高機能化/多コンテンツ化が顕著であり、20〜30ものコンテンツを搭載した機種も珍しくなくなった。ただ、コンテンツ追加については辞書カード(もしくは辞書CD-ROM)程度の準備までしか行われれておらず、本製品ほどコンテンツの入手と活用にまでフォーカスした機種は例を見ない。

 「基本は電子ブックリーダーで、そこに辞書機能を追加したという経緯もあり、実を言うと、電子辞書という名称を冠するかも内部でかなり議論になりました」(斎藤氏)「既存の電子辞書は、なにか調べたいものがあった場合に使われるいわば“受け身”のハードウェアなんです。新製品は調べるべきものを内部に収納し、追加していけますので、1つの機器内で分からない言葉がある→調べるという流れが完結します。いわばアクティブなハードウェアとしてとらえてもらえればいいと思います」(鈴木氏)

photo 転送したWordファイルを表示し、辞書を引く

 ただ、コンテンツの入手性や“ネットワーク電子辞書”というキャッチフレーズを考えれば、直接ネットワークに接続できる機能(無線LAN)は搭載して欲しかったと感じる。また、入手できるコンテンツの多様性を考えると搭載されている液晶がモノクロなのもさみしいが、本製品の“電子ブックリーダー”として立ち位置を明確に示すため、あえて高機能化を進めなかったのだという。

 「ネット上のコンテンツを入手して表示する電子ブックリーダーとして考えると、無線LANは搭載した方がいいとは思いますが、PCにインストールしたライブラリソフトを組み合わせて使うことを前提にしていますので、あえて搭載しませんでした。カラー液晶は電池中寿命に及ぼす影響が大きいというのもありますが、あくまでも“英文リーディング”と“英語学習”に用途を絞ったためにこちらも見送りました」(鈴木氏)

 「無線LANやカラー液晶を搭載すると、メールソフトやWebブラウザへの要求も自然とわいてくると思いますが、そこまで搭載してしまうと、PDAになってしまいます。高機能を求める意見は理解できますが、立ち位置を明確にするために割り切りました。そうすれば、W-Zero3やMyloとの差別化も図れると思います」(斎藤氏)


 “電子辞書機能付き電子ブックリーダー”というこれまでに類を見ない製品となった本製品だが、こうした製品を同社が手がけるまでに至った理由は、米Franklinとの業務提携以外にも、日本の電子辞書市場の変化にも求めることができるのだという。

 「日本の電子辞書市場は出荷台数としては低下傾向なのですが、単価は上昇傾向を示しています。私たちはこの現象を、電子辞書へ求められているハードルが高くなっているからだと認識しています。そこで、まずは本製品でプロフェッショナルや研究者、英語学習への意欲の高い層を狙っていきたいと考えています。今後は、単純に“辞書”ではない製品も求められていくのではないでしょうか」(鈴木氏)

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