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「ガラスの靴」を持った王子を失望させる「マイブーメラン」プロフェッサー JOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと!」(3/3 ページ)

» 2007年04月20日 17時08分 公開
[竹村譲,ITmedia]
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photo マイブーメランはパソコンだけではなくケータイサイトもサポートしている。ケータイでは対象物の写真も提供することが可能だ

 マイブーメランサービスは1年間の期間サービスだが、1年経過後は、1年単位でサービス契約を延長できる。もし延長しなかった場合には「準会員」というカテゴリーとなる。準会員は紛失物が見つかり、その回収を希望する際に、延長契約を結んでいる正会員であれば不要な「回収取扱手数料」5250円(国内)/1万500円(海外)を支払うことが必要となる。(回収宅急便代金は別途実費)。もちろん個人の希望で「退会」も可能だ。個人の登録したデータベースは退会後1年間保存され、それ以降、本人の要求があれば削除される。

 退会後、個人のデータベースが存在している期間に見つかった紛失物に対して、持ち主が回収希望を依頼することも可能だ。その時は、準会員同様だが、より高額の「回収取扱手数料」1万500円(国内)/2万1000円(海外)が必要になる。もし、この期間にマイブーメランラベルが貼られたモノが紛失物として発見され、Webサービス経由で拾得物登録されたが、連絡をもらった持ち主が、回収希望をしなかった場合は、マイブーメランラベルを貼られた可愛そうなモノはどうなるのだろうか?。

 マイブーメランサービスは海外もサービス対象範囲としているが、「旅行用タグ」を除き、ラベルやストラップ、キータグ上の記述は日本語だけであり、電話の無料コールも日本国内をサポートした「0120」ダイヤルのみであることから、実際に海外で紛失した場合の通報や情報提供には限度がある。よって、ケータイキャリアやパソコン、デジカメ、カバンメーカーなどが自社の製品の販売促進ツールとして活用するのが一般的だろう。また全員が善意の第三者であると仮定することが無理のない、オフィス内の備品管理にも向くと思われる。

photo 一方、マイブーメラン・ラベルのついた誰かの紛失物を拾得した第三者は、ラベルに記載されている無償電話番号に電話するか、記載されたURLにアクセスして情報を提供する

 このサービスはケータイ電話やデジカメ、デジタルミュージックプレイヤーの登場による持ち歩き機器の市場拡大やインターネットの普及、そして個人情報保護法の遵守時代を背景に必然的に生まれた新しいサービスだ。

 かくして21世紀の高度にIT化が進んだ「ブーメラン王国」では、持ち主の知れない魅力的なガラスの靴を持った王子は一生、シンデレラ姫に巡り会えないかもしれない。しかし、「マイブーメラン」が王子そのものであれば、このサービスビジネスは拡大するだろう。

商品:紛失物回収サービス「マイブーメラン」

価格:680円〜1260円(キャンペーン価格:パッケージ内容により6種類)

竹村譲氏は、日本アイ・ビー・エム在籍中は、DOS/V生みの親として知られるほか、超大型汎用コンピュータからThinkPadに至る商品企画や販売戦略を担当。今は亡き「秋葉原・カレーの東洋」のホットスポット化など数々の珍企画でも話題を呼んだ。自らモバイルワーキングを実践する“ロードウォーリア”であり、「ゼロ・ハリ」のペンネームで、数多くの著作がある。2004年、日本IBMを早期退職し、国立大学の芸術系学部の教授となる。2005年3月、より幅広い活動を目指し、教授職を辞任。現在、国立 富山大学芸術文化学部 非常勤講師。専門は「ブランド・マネジメント」や「デザイン・コミュニケーション」。また同時に、IT企業の広報、マーケティング顧問などを務める。

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