富士通の「FMV-TEO」シリーズは、PC用ディスプレイではなく、HDMIケーブルで家庭の大画面テレビに接続して利用するというコンセプトを打ち出したデスクトップPCだ。2007年1月に第1世代が発表されて以来、4度目のモデルチェンジにあたる今夏モデルは、2008年6月末から2モデルが販売中だ。
第2世代となって、従来機からぐっとAV機器寄りになった本体のデザインをはじめ、各部にわたって大幅な変更が施されたことから、性能や使い勝手がどのように変わったのか、気になっている人も多いだろう。今回は、上位機にあたる「FMV-TEO/A90D」を取り上げ、機能や使い勝手をチェックした。
これまでのFMV-TEOシリーズといえば、白とグレーのツートーンカラーのボディという、家庭向けデスクトップPCのイメージに近いスタイルを堅持していたが、今回は黒を基調にハーフミラー処理のクリアパネルを前面にあしらったデザインへと一新。これは、黒や銀で固められたAV機器の多いリビングルームにも、抵抗なく受け入れられるようにとの配慮だろう。従来通り横置きでの利用に加え、別売の縦置きフット(FMV-FT03/直販価格1500円)を併用すれば、縦置きでも使うことが可能になったのもトピックだ。
また、クリアパネル中央部に置かれた電源ボタンの両脇には、イルミネーションLEDが組み込まれており、動作の状態に応じてさまざまな表情を見せる。これもリビングに設置されることを意識した演出といえるものだ。初期状態では、起動時は白、通常は水色と青のグラデーション、テレビ録画中は赤く点滅するほか、付属ユーティリティで光り方を6パターンから選ぶこともできる。さらに、同社のWebサイトからプログラムをダウンロードすれば、グリーンやパープルに光らせることも可能と、遊び心も忘れていない。もちろん、テレビ視聴時のじゃまにならないよう、LEDランプを消灯してもおくこともできる。
ボディサイズは340(幅)×357.5(奥行き)×75(高さ)ミリ、重量は約6.6キロとスリムなため、AVラックやテレビスタンドへの収納も楽に行える。本体の拡張性は従来モデルを踏襲しており、前面のカバー内に2基のUSB 2.0と4ピンのIEEE1394、背面に4基のUSB 2.0端子を装備する。また、前面にはSDHC対応のSDメモリーカードとメモリースティックPROの共用スロットも備える。
大きく手を加えられたのは本体デザインだけでなく、内部のシステムにも及び、これまでのインテルプラットフォームに代わって、AMDの最新プラットフォームが新たに採用された。6月のCOMPUTEX TAIPEI 2008で発表された、ノートPC向けのPumaプラットフォームを全面的に導入しており、2.0GHz駆動のデュアルコアCPUであるTurion X2 RM-70を筆頭に、MPEG-4 AVC/H.264の再生支援機能UVD(Unified Video Decoder)を持つGPU「ATI Radeon HD 3200」を統合したAMD M780Gチップセットが組み合わされる。
メインメモリには、PC2-5300対応の1GバイトSO-DIMMモジュールを2枚搭載し(最大4Gバイト/空きスロットなし)、スロットローディングタイプのBlu-ray Discドライブにいたるまで、ノートPC用のパーツが積極的に使われている。もっとも、本製品はテレビ録画機能が大きな目玉になっており、大容量が求められるHDDだけは、デスクトップPC用の3.5インチタイプ(7200rpm)を内蔵している。上位機のFMV-TEO/A90Dは750Gバイト、下位モデルのA70Dは500Gバイトだが、直販サイトのWEB MARTでは1Tバイトも選べるカスタムメイドモデルが提供されているので、より大容量のストレージを求めるユーザーはこちらも検討したい。ちなみに、カスタムメイドモデルで選択可能な項目は、本体のスペックに関してはHDD容量(1Tバイト/750Gバイト/500Gバイト)とメモリ容量(4Gバイト/2Gバイト)、光学ドライブ(Blu-ray Disc/DVDスーパーマルチ)、無線LANの有無と少なめで、19型ワイド液晶ディスプレイ(1440×900ドット)の追加も行える。
なお、本体内部にはPCI Express x1とPCI Express Miniカードのスロットを1基ずつ装備しているが、3波(地上デジタル/BSデジタル/110度CSデジタル)対応テレビチューナーを2基搭載したカードとIEEE802.11b/g対応の無線LANカードでそれぞれ埋まっており、拡張スロットに空きはない。
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