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» 2009年07月15日 18時08分 UPDATE

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」VOL.36:日立「P50-XP03」が描く「チェンジリング」の深い闇と希望 (1/2)

日立製作所“Wooo”新製品の頑張りがずいぶん話題になっている。以前の日立プラズマというと、黒浮きが気になって映画を観るにはイマひとつという感じだったが、今回の03シリーズの黒、コントラスト表現はじつに素晴らしい。

[山本浩司,ITmedia]

 液晶とプラズマの両面展開を図る日立製作所“Wooo”シリーズ。この春に発表されたラインアップはじつに強力で、店頭でも日立の頑張りがずいぶん話題になっているようだ(→新生“Wooo”はすべてHDD内蔵、3シリーズ新登場)。「できる録画テレビ」をキャッチフレーズに、すべてのモデルに250GバイトのHDDとカセットHDD「iVDR」用「iVポケット」を用意。8倍録画のXCode HDを搭載して内蔵HDDでハイビジョン放送の200時間録画を実現したほか、ネットコンテンツの「アクトビラ ビデオ・フル」のダウンロードに対応するなど、テレビの楽しみを格段に広げるシリーズに進化している。

 Woooの2009年春夏モデルは、液晶テレビの「UT800シリーズ」と液晶の「03シリーズ」、それとプラズマの「03シリーズ」で構成されるが、1カ月ぶりとなる本連載では、実際にその画質をチェックしてそのハイパフォーマンスに感心した50V型プラズマテレビ「P50XP03」をとり上げてみたいと思う。

photo 日立製作所の「P50XP03」

 プラズマの03シリーズは、50V型、46V型、42V型のフルHD(1920×1080ピクセル)機と42V型のHD機(1024×768ピクセル)の4機種で構成される。すでに報道されているように、この春から日立のプラズマテレビにはすべてパナソニックから供給されるプログレッシブ・タイプのパネルが使われることになったが、「ダイナミック・ブラックパネル」と命名されたこのデバイスを採用することで、4万:1というハイコントラスト・スペックがカタログ表記されている(HD機のP42HP03は3万:1)。

 以前の日立プラズマというと、明るさはじゅうぶん確保されているのだが、どうしても黒浮きが気になって、映画を観るにはイマひとつという感じだったが、今回の03シリーズの黒、コントラスト表現はじつに素晴らしい。まずこの点におおいに感心した。

 パネルはパナソニックからの調達だが、「ピュアカラーフィルター」と呼ばれる前面フィルターは日立独自のもの。透過率が高く、色分布特性に優れるこのフィルターの採用で、HDTV国際規格比125%という広い色域が実現されている。実際にその映像を見ても、確かに心ひかれる鮮やかな色が再現されているのが分かる。透明度の高い青や深みのある紅、みずみずしい新緑の表現などはかつて見たことのないもので、他社製品をしのぐ魅力を持つといっていい。

 では、最新Woooの最大の特徴ともいえる録画機能について触れておこう。先述したように内蔵HDDの容量は、従来同様250Gバイト。これに「iVポケット」と呼ばれるリムーバブル・カセットHDD「iVDR-S」用スロットを用意し、その連携で様々な録画用途に対応する構えだ。

 Woooはハイビジョン放送のデータストリームを圧縮して長時間録画を実現する「XCode HD」というトランスコード技術を以前から使ってきたが、今回のシリーズからXcode HDに業界最長の8倍録画モード「TSX8」を新設、ハイビジョン放送の200時間録画を実現した。この8倍モード、懸念されたブロックノイズは比較的うまく抑えられているが、やはり画質の甘さはいかんともしがたい。思いの外画質がよいと思ったのは、4倍モードの「TSX4」。このモードなら画質面のストレスをあまり感じることなく、長時間録画のメリットを享受できると思った。

 また、日立マクセルから供給されるiVDR-Sカセットも160Gバイト、250Gバイトに加えて320Gバイトタイプが登場。内蔵HDDとの連携で録画時間をどんどん増やすこともできるし、ダビングに要する時間が短いiVDR-Sは、個別の「マイ・ライブラリー」づくりにも最適だ。シャープがBlu-ray Discレコーダー機能を搭載させた「DXシリーズ」をヒットさせているが、日立がこの先iVDR-Sをどのように展開していくのか、もしくはBlu-ray Discへの乗り換え、追加を考えるのか、興味深いところである。

photophoto 日立マクセルから供給されるiVDR-Sカセット(左)と「テレビ版Yahoo! JAPAN」の画面(右)

 ネットワーク連携の進化も見逃せない。本シリーズでネットコンテンツ「アクトビラ ビデオ・フル」のダウンロードに初対応した。例えば、「TSUTAYA TV」の映画プログラムなど、これまでは1回観るだけのストリーミング対応だったが、本シリーズからダウンロードセル&レンタルが可能になったのである。ここでぜひ注目してほしいのは、ストリーミングとダウンロードの画質の違い。「アクトビラ ビデオ・フル」はMPEG-4 AVC方式で圧縮エンコードされるが、ストリーミングは固定ビットレート方式で平均6Mbps、それがダウンロードになると平均約10Mbps。最大20Mbpsの可変ビットレート方式になるのである。

 これまでTSUTAYA TVのHD番組をストリーミングしたことが何度かあるが、圧縮系ノイズが目立ちコントラストも浅く、これではとても料金を払う気になれないというのが正直なところだった。しかし、ダウンロード・コンテンツを観ると画質はまるで別モノ。アメリカ映画「ノーカントリー」をBD ROMと比較視聴してみたが、解像感、S/N、色調ともROMに迫る健闘ぶりを見せた。この高画質で部屋にいながら観たいときに観たい映画を自在に入手できるのである。これは試さない手はないと思った。

 もっとも、音声はAAC2チャンネルのみ。BD ROMの5.1チャンネルロスレスHDオーディオとの差は大きいが、それはAVアンプと本格的な5.1チャンネルスピーカーシステムを用意できる方だけが実感できる、果てしなき大きな違いかもしれない。ちなみにTSUTAYA TVの映画コンテンツの1作品当たりのダウンロードレンタル/セル料金は、前者が735円、後者が3675円だそうだ(ストリーミングレンタルは630円)。

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