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» 2012年01月30日 15時34分 UPDATE

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:時代が新しいデバイスを要求している――CES総括(後編) (1/3)

スマートテレビを中心に取り上げた前編に続き、後編ではテレビメーカー各社の新戦略に見る“高級志向”という流れ、そして注目の新パネルについて、AV評論家・麻倉怜士氏に聞いていこう。

[芹澤隆徳,ITmedia]

1月10日から13日まで、米ラスベガスで開催された「2012 International CES」。スマートテレビを中心に取り上げた前編に続き、後編では各社の新戦略に垣間見える“高級志向”という流れ、そして注目の新パネルについてAV評論家・麻倉怜士氏に聞いていこう。

――今回のCESでは、メーカーごとに独自性のある展示が多かったようですね

麻倉氏:そうですね。例えば、大画面化を推進しているシャープは、米国では70型や80型をラインアップに加え、金額シェアで10%ほどを占めるにまで成長しました。面白いのは、従来の「AQUOS」ブランドに加え、資本提携先であるパイオニアの「ELITE」(エリート)ブランドをテレビの拡販に使うことです。もともとシャープ製品は大衆的なイメージでしたが、高級オーディオチェーンの「MAGNOLIA」(マグノリア)などでは、ELITEブランドの液晶テレビの横に「TAD」(パイオニアの高級オーディオブランド)のスピーカーを置いて販売するそうです。価格競争に走って自滅する従来のパターンから転換し、独自の動きに変わった点が重要ですね。

ts_enma_sony01.jpgts_enma_sharp01.jpg ソニーは「X-Reality PRO」の効果をアピール(左)。シャープは「ELITE」ブランドをプッシュ。販売展では、TADのスピーカーを横に置くという(右)

 ソニーも“BRAVIA”「XBRシリーズ」という、昔でいう「プロフィール」のような高級ラインが元気です。北米市場でも、やはり高画質を求める人は一定数いて、しかも増加傾向にあるたえめ、高付加価値を提案するテレビが注目を集めています。今後、日本メーカーならではのブランドや品質の高さを生かそうとする動きは活発化するのではないでしょうか。

デザインにも新しい波

 デザイン面では、パナソニックブースが活気がありました。例えば北米向けのテレビ新製品に採用された“グラス&メタル”デザイン。画面の厚さは1センチ程度と超薄型になり、フレームはシルバーの狭額縁です。足のデザインもかっこいいです。去年はサムスンが狭額デザインのテレビで目立っていましたが、今年はパナソニックも変わりました。これは世界的に展開するそうです。

ts_enma_panaces02.jpgts_enma_panaces01.jpg パナソニックブースと“グラス&メタル”デザイン。プラズマテレビの“VIERA”「GT50シリーズ」などに採用された

 トレンドからいえばサムスンの後追いかもしれませんが、パナソニックがデザインに注力したことは重要です。話を聞くと、現地法人のパナソニック・アメリカから日本のデザイン担当部署に改善をプッシュしたのに、本社側はあまり切迫感を持っていなかったようです。日本ではサムスン電子のテレビはありませんから。そこで、パナソニック・アメリカを中心にデザインプロジェクトを立ち上げ、製品化にこぎ着けたそうです。

 韓国LGエレクトロニクスのテレビは、画面横のフレームが細く、画面下のフレームが比較的厚いのですが、秋の新製品は全面狭額縁にするということです。LGの担当者は、「フレキシブル基板と(構造体の)アルミ板を一体化していけば、フレームはなくすことができる」と話していますから、まだまたスリム化を進めるつもりかもしれません。でも、そこまでいくとテレビのデザインって何だろうと思ってしまいますね。フレームがなくなったら音(スピーカーの設置場所)はどうなるのかという疑問もあります。

ts_enma_lg03.jpgts_enma_lg04.jpg 韓国LGエレクトロニクスの新型テレビ。狭額縁が特長

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