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1年ぶりのプレミアム画質、ソニー「KDL-55HX950」が見せたコントラスト表現の素晴らしさ山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2012年09月24日 14時10分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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 先頃、ベルリンの「IFA 2012」で初お目見えしたソニー製84V型4Kテレビ。その試作機をチェックする機会があったが、なるほどその大画面の迫力は一瞬ことばを失うほどだった。ぼくはふだん自室で110インチのスクリーンにプロジェクターの映像を投写して映画のBlu-ray Discを楽しんでいるが、やはり直視型ディスプレイがここまで大きくなると、スクリーン映像とはまた違った感興が得られるのだなあと実感した。

ソニーがIFA 2012で披露した84V型4Kテレビ

 4K×2Kディスプレイの最適視距離とされる1.5H(画面高の1.5倍)まで近づいてみたが、約60度の水平視野角が実現できるこの位置での臨場感は圧倒的。また、ここまで近づいても画素構造が認知できないシームレスな映像が得られることに4Kディスプレイの精細度の凄さをまざまざと思い知らされた。しかも、本機に盛り込まれた2K→4Kアップコンバート技術はひじょうに巧妙で、4Kネイティブ表示に比べて大きな違和感を抱かせないレベルに仕上がっていることも確認できた。コントラスト表現や色再現などにまだまだ物足りなさは残るが、まずは予想以上の完成度の高さといっていいだろう。

 しかし、この巨大な84V型ディスプレイをどうやって家庭の中に持ち込ませるか。そして4Kディスプレイの1.5H近接視聴の面白さをいかにアピールするか。マーケティング面でのメーカーの課題は多い。普段、使わないときはスクリーンを巻き上げておけるプロジェクター導入とはまた違った難しさがあるのは間違いないだろう。

 そう、一般的なリビングルームで4Kテレビの真の魅力が味わえる過激な1.5H視聴を実現するためには、“テレビを真剣に観る”という行為を受容する文化的なパラダイム・チェンジが必要だと思う。その場合、当然ながら何を観るかから考え直す必要に迫られるわけだが……。そう考えると、30度強の水平視野角が得られる3H視聴というリビングルームで比較的実現しやすい設置法を採るのであれば(これでも近すぎると思われる方は多いのだが)、その視距離で画素構造が認知しにくい50〜55V型クラスのフルHDテレビを導入するのがもっともスマートだという結論になろうかと思う。

 そこで、この秋の新製品の中でぜひ推したいのが、10月下旬に発売が予定されているソニーの55V型フルHD液晶テレビ「KDL-55HX950」だ。

ソニー「KDL-55HX950」

 ソニーはこの春、「HX850シリーズ」を発売し、画質を磨きつつネットコンテンツに対する幅広い対応など機能面を充実させて多くのAVファンの注目を集めた。確かにHX850シリーズの画質は悪くなかったが、エッジライト方式のため、昨年のHX920シリーズほどの峻烈(しゅんれつ)なコントラスト表現は実現できていないというのが正直な感想だった。

 昨今のテレビ販売の不振、それに伴う価格競争の激化によって、今年はHX920シリーズのような直下型バックライトを採用した高級機はもう出せないのでは? と思っていただけに本シリーズの登場は、じつに喜ばしいことだ。

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