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外出先から録画番組を視聴、初の「DTCP+」対応NASをアイオーが発表

» 2013年01月16日 17時02分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 アイ・オー・データ機器は1月16日、DTCP+によるリモートアクセスが可能なネットワークHDD(NAS)、“RECBOX”「HVL-Aシリーズ」を発表した。HVL-Aシリーズに録画番組をダビングしておけば、外出先のPCなどからストリーミング視聴が可能になる。HDD容量が2Tバイト、3Tバイト、4Tバイトの3モデルを2月から出荷する予定だ。

HVL-Aシリーズは容量違いで3モデル。外観は共通だ

型番 HVL-A2.0 HVL-A3.0 HVL-A4.0
容量 2Tバイト 3Tバイト 4Tバイト
目標価格(未定) 2万4200円前後 3万600円前後 3万9100円前後
発売時期 2月

 PCにバンドルソフトの「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」(Windows版)を導入し、HVL-Aシリーズとペアリングを行えば(ローカルレジストレーション)、外出先からインターネット経由で録画済み番組を視聴できる。

 デジタルチューナーは内蔵していないため、録画テレビやレコーダーで録画した番組をDTCP-IPダビング(ネットワークダビング)することが前提だ。同社によると、DTCP-IPダビングについては、SCEの「nasne」をはじめ、東芝の録画テレビ「レグザ」や「レグザブルーレイ」、日立の「Wooo」、シャープ「AQUOS」との接続を確認済みだという。

 なお、出荷後のファームウェアアップデートにより、「オートダウンロード」機能を搭載する予定。これは、nasneなどで番組録画が終了すると、自動的にHVL-Aシリーズにダウンロード(DTCP-IPダビング)するというもの。ユーザーが手を掛けずにリモートアクセスの準備が整う仕組みだ。

「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」の録画番組一覧。デモでは3MbpsのAVC録画した番組をインターネット経由で視聴していた(左)。nasneなどからDTCP-IPダビングが可能(右)

 リモートアクセスで同時に接続できるクライアントの数は1台のみ。これはDTCP+の制約によるもので、HVL-Aシリーズ自体は宅外/宅内を含めて同時3ストリームの送出に対応している。例えば宅内で家族がテレビやタブレット(DTCP-IP/DLNA対応アプリが必要)で番組を視聴していても、宅外からPCでリモートアクセスが可能だ。なお、NAT越えにはNATトラサーバル技術を採用している。

 本体は、215(幅)×183(奥行き)×40(高さ)ミリの横置きタイプで、背面にLANポートとUSBポート、前面にはUSBポートと電源スイッチなどがある。なお、USBポートは、ビデオカメラなどの接続を想定したもので、HDD増設には対応していない。

デジオンと一緒にDTCP+を先行展開

 “DTCP+”は、2012年1月にDTLA(Digital Transmission Licensing Administrator:DTCPやDTCP-IPのライセンス団体)が策定した「DTCP-IP 1.4」の通称だ。従来のDTCP-IPが宅内ネットワークだけを想定しているのに対し、今回は外部からのリモートアクセス仕様とルールの定義を含めた拡張仕様となった。あわせて、アナログ映像出力の禁止や、DRMコンテンツのMPEG-TS以外のコンテナ伝送サポート、新しいコピーカウント概念(マルチコピーカウント)などの機能も追加され、すでにライセンスが開始されている。

 ただし、日本国内では放送局などのコンテンツホルダーや権利者団体は、コンテンツがインターネットを経由することに“良い顔をしない”こともあり、各メーカーは様子見という状況だ。そうした中、アイ・オー・データ機器は、DigiOn(デジオン)と協力して他社に先駆けてDTCP+対応機器を展開するという。アイ・オーがハードウェアを作り、デジオンがクライアントソフトを担当する形だ。

アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長

 同社によると、DTCP+は暗号化方式(AES 128bit暗号化)や運用ルール(DTCP+)などは決まっているものの、宅内配信時のDLNAに相当する接続方式が規定されていないという。このままでは、DTCP+対応機器同士でも接続方式が異なるためにつながらないといった状況になる可能性もあり、アイ・オーとデジオンは、「標準仕様のない部分に先行して製品を投入し、業界のデファクトスタンダードを目指す」(同社)。

 アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長は、「DTCP+の利便性を考えれば、いずれは家電メーカーのレコーダーにも採用されるもの。であれば、われわれは叩かれることも覚悟で最初に手を挙げる。数年前のPC向けデジタルチューナーと同じだ。ルールを守った上で、“ここまではできる”ということに、今後も挑戦していく」と話している。

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