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琥珀色のパリを見事に描き出したJVC「DLA-X75R」の「フィルムモード」山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

» 2013年01月23日 14時01分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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 本誌の「2013 International CES」取材記事ですでに報告されているように、今年は各社から4K大画面テレビが数多く発売されそうだ。昨年秋に登場したソニーの84V型「KD-84X9000」や、この2月に発売がアナウンスされているICC技術を導入したシャープの60V型機「LC-60HQ10」などを見ても、日本メーカーらしい提案性に満ちた真摯(しんし)な取り組みがうかがえ、今年は大画面化に伴う高精細化技術のいっそうの成熟が期待できそうだ。

 一方、スクリーンを用いた超大画面が実現できるプロジェクターはというと、いまひとつ4K化の動きが鈍い印象。改めていうまでもなく、4K化、すなわち高精細化の恩恵は、画面サイズが大きくなればなるほど顕著になるわけで、100インチ超の大画面を家庭内に導入できるプロジェクターにおいて、そのメリットは計り知れない。そんな中、昨年発売され、ひときわ鮮烈な印象を残した4Kプロジェクターが、JVCの「DLA-X75R」だ。

JVCの「DLA-X75R」。価格は89万2500円

 もっともこのプロジェクター、リアル4K2K(3840×2160ピクセル)画素の表示素子を持っているわけではない。一昨年発売されたDLA-X70R同様、フルHD(1920×1080ピクセル)の0.7型D-ILA(反射型液晶タイプ)表示パネルと投写レンズの間に、NHKと共同開発した「e-shift2デバイス」と呼ばれる素子を組み込み、電圧印加によってこの素子を斜めにシフトさせることで、新たに生成した補間画像を画素ずらし表示。HDオリジナル画像と60フレームずつ交互に120Hz表示して、4K2K近似の解像度を得る仕組みだ。

e-shift2デバイスの動作

画素シフトのイメージ(出典:JVC)

 見た目も前作「DLA-X70R」とまったく変わらないが、回路面は大幅にブラッシュアップされている。新たにMPC(Multiple Pixel Control)と呼ばれる回路が搭載され、補間画像を得るための画素検出範囲をX70Rの6×6ピクセルから21×21ピクセルへと10倍以上に拡大し、エンハンスやスムージングをかけるための帯域分割幅をDLA-X70Rの2バンドから8バンドに拡大して、4Kアップコンバート効果に磨きをかけているのである。

 また、DLA-X75Rでは新たに5種類の「4Kプロファイル」が用意された。これは再生するコンテンツの特性に応じて、それにふさわしい4K映像を生成してくれるプリセットモード。通常のBlu-ray Disc映画ソフトなら「フィルム」、4Kマスタリングされた精細度の高いBlu-ray Disc映画ソフトなら「高解像度」、WOWOWなどの放送素材なら「HD」、DVDなら「SD」というふうに使い分ければよい。

プロファイル 内容
フィルム フィルム撮影のBlu-ray Discを再生するとき
高解像度 一般的なBlu-ray Discを再生するとき
HD デジタル放送および録画番組を再生するとき
SD DVDまたはSD画質で放送された番組を再生するとき
ダイナミック より映像効果を楽しみたいとき
オフ コンテンツのオリジナル解像度で表示したいとき

 一昨年のDLA-X70Rが、4Kマスタリングされた、もともと精細度の高いBlu-ray Disc映画ソフト限定でその4K化効果がリアルに実感できるプロジェクターだったのに比べて、X75RはDVDから放送、Blu-ray Discまでありとあらゆるコンテンツで4Kハイレゾ効果が楽しめるプロジェクターに生まれ変わったといっていいだろう。実際にさまざまなコンテンツでDLA-X70Rと映像を見比べて、その画質向上ぶりにおおいに驚かされることになった。ソフトによっては、リアル4K2K表示パネルを採用したソニー「VPL-VW1000ES」よりも尖鋭度の高い映像を見せるほどである。

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