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3DにBDオーディオ、ブルーレイ大賞が示したBDの新しい可能性(前編)麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/4 ページ)

» 2013年03月07日 14時38分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 恒例の「DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」授賞式が2月15日に行われた(→関連記事)。5回目となる今回は、初めてBlu-ray 3Dの「ヒューゴの不思議な発明 3Dスーパーセット」がグランプリを受賞したほか、昨年登場したハイレゾ音源パッケージ“BDミュージック”(BDオーディオ)が「ベスト高音質賞 音楽部門(クラシック)」を獲得するなど、業界のトレンドも反映した結果となった。今年も審査委員長を務めたAV評論家・麻倉怜士氏に詳しく解説してもらおう。

表彰式の様子

――DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞も5回目になりました

麻倉氏:ブルーレイ大賞は、昨年1年間に発売されたBlu-ray Discの中から、高画質や高音質、インタラクティブ性といったBlu-ray Discならではの特長を生かした作品を表彰するユニークなアワードです。今年で5年目になりますが、量販店の店頭に「DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞コーナー」が設けられるなど、日本のディスクシーンに定着した感がありますね。DEGに参加するソフトメーカーもこの賞をなんとか取りたいと作戦を練っているようで、強い作品が出る部門を避けたりもします。それが良いのか分かりませんが……。

 DEGのアワードは、本家の米DEGでも行われていますが、一昨年あたりから規模が縮小されてしまい、現在は日本のアワードが15部門あるのに対し、米国は5部門程度にとどまっています。以前はInternational CESで大々的な表彰式を催していたのですが、最近はWebサイトなどもなく、問い合わせてやっと実施していることが分かるような状態です。つまり、世界を俯瞰(ふかん)してみると、画質や音質をメインにBDを評価するのは、わがDEGジャパンアワードだけでしょう。そういう意味でもアワードの重要性は増していると思います。

――今年は部門も増えました

グランプリ作品発表時の麻倉氏

麻倉氏:毎年、そのときの実情をふまえて変更を加えていますが、今年は前回までの「ベスト高画質賞 ビデオ部門」を細分化し、テレビドラマを対象とした「TVドラマ部門」、ドキュメンタリーなどの「企画映像部門」を新設しました。実際、BDの使われ方を見ると、当初は映画のハイクオリティーキャリアとしてスタートしたものの、日米ともテレビドラマの売れ行きが良い。しかも高画質の作品も増えているので、その中から1つ選ぼうという発想です。

 また、世界的に見ても作品数が増えているアニメ部門を「洋」と「邦」に分けました。これは、世界をリードする日本のアニメ業界に対するリスペクトする姿勢の現れです。Blu-ray Discでは日本製アニメの売上がもっとも多いので、それを素直に反映させた結果です。

 もう1つ、「ベスト高音質賞」も音楽部門も「クラシック」と「ポップス他」「映像」に細分化しています。やはりクラシックとポップスでは音作りや質に違いがあります。それぞれの分野で追求されたクオリティーを個別に評価しようという姿勢の現れですね。いずれも市場のトレンドやソフトメーカーの姿勢を捉え、それに合致した賞にするという判断です。

――では、個々の受賞作を見ていきましょう。まずはベスト高画質賞・映画部門(洋画)です。

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