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HDMI 2.0で変わること、変わらないこと――HDMI Licensingが説明会(1/2 ページ)

» 2013年09月12日 22時07分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 HDMI Licensing,LLCは9月12日、国内で「HDMI 2.0」のプレス向け説明会を開催した。HDMI 2.0は、大幅に帯域幅を拡張して4Kの60フレーム伝送を可能にした新しい規格だ。「IFA 2013」開催に先立つ9月4日にリリースされ、さっそくパナソニックソニーが対応機器を発表している。

あいさつに立ったHDMI Forumのアーノルド・ブラウン理事会会長(左)、HDMI Licensing,LLCのスティーブ・ベヌーティ社長(右)

 HDMI Licensing,LLCのSteve Venuti(スティーブ・ベヌーティ)社長はまず、「HDMI 2.0は、市場の変化を先取りした進化だ。われわれはインフラの開発に携わっており、メーカーの希望する機能を検討しながら“数年先”をいく必要がある」と指摘。HDMI 2.0がもたらす変化について、いくつかのポイントを挙げて説明した。

帯域幅は最大18Gbps、4Kの50/60Hzをサポート

帯域幅は最大18Gbps、4Kの50/60Hzをサポート

 HDMIは、最初のバージョンであるHDMI 1.0で1080pのフルHD伝送を可能としたが、当時の伝送速度は4.95Gbpsだった。2006年に登場したHDMI 1.3では帯域幅を広げ、2倍以上となる10.2Gbpsを実現する。これは「色深度の拡張など、次のHDMI 1.4を見越したもの」(Venuti氏)だったという。そして2009年のHDMI 1.4では、広がった帯域幅を活用して3Dと4K/30pをサポート。当時、3Dテレビに力を入れようとしていた家電メーカー各社やハリウッドの意向も強く反映された。

 しかし、実際に大型の4Kテレビが市場に現れ、4Kコンテンツの登場も視野に入ってきた現在では、30フレームでは不足する。24pが一般的な映画コンテンツはともかく、放送では50/60Hz(50/60フレーム/秒)が基本だ。このためHDMI 2.0では、さらに倍近い18Gbpsまで上げ、4Kの50/60p伝送を実現した。「今回は4Kのフレームレートを上げる必要があるという声を受けたバージョンアップ。4K/60pにより、スクリーンサイズの拡大も可能になる」(Venuti氏)。

デュアルビューイング

 デュアル表示は、3Dテレビの技術を活用し、1つの画面に2つの映像を同時に表示するというもの。既に韓国LGエレクトロニクスなど一部のメーカーは、偏光方式の3Dテレビで同様の機能を提供している。2つの映像は1つの画面に1ラインずつ交互に映し出され、視聴者は偏光方向の異なるメガネをそれぞれかけることで目的の映像だけが見えるという仕組みだ。今回はそれを伝送路として規格化しており、ソース機器(プレーヤー)と表示機器(テレビ)の振る舞いを決めたため、異なるメーカー間でも互換性が確保できる。「主にマルチプレーヤーゲームなどの利用を想定している」という。

オーディオ伝送の強化

最大32のオーディオチャンネルとマルチストリームオーディオ

最大1536kHzのオーディオサンプリング

 拡大した伝送路を生かしてオーディオも進化した。まずオーディオのサンプリング周波数は1536kHzと「前バージョンのHDMIからオーディオ再現性は2倍になった」。さらに、オーディオチャンネルは最大32と一気に4倍へと拡大。「従来のサラウンドを超えた、3次元の没入型オーディオ体験が可能になる」(同氏)という。

 また最大4人に対するマルチストリームオーディオ(最大8ch)や、英語と日本語など複数の言語を同時に届けるといった使い方も想定している。前述の「デュアルビューイング」と併用し、個別の画面を見ながら個別の音声を聞くことも可能だ。

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