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独自の振動板技術で“クラスを超える”、サエク&Dynamic Motion

» 2013年10月28日 17時20分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 サエク コマースは、「秋のヘッドフォン祭 2013」で韓国Dynamic Motionのカナル型イヤフォン「DM008」を国内販売すると発表した。11月1日から日本のみの先行販売を行う予定だ。価格は1万3440円と比較的手ごろながら、「サイズを超えた音」(サエク コマースの北澤慶太社長)を目標に開発したという。

「DM008」のブラック/ゴールド。ケーブルから続くようにデザインされた「L/R」表記がしゃれている(左)。サエクの北澤慶太社長と今回の提携に関わった韓国Nj InnovationのN.H.キム代表理事。ヘッドフォン祭の展示会場で撮影(右)

 Dynamic Motionは、30年以上にわたってダイナミック型スピーカーを手がけるODMメーカーだ。毎月2000万個ものユニットを生産し、世界中のヘッドフォンメーカーに納入している。その同社が初めて自社ブランドで販売するのが、今回の「DM008」となる。

 「DM008」は、樹脂製ハウジングをベースとしながら、カバーには、アルミニウム素材を採用して不要な振動を抑制。アルミ素材が持つ高級感を生かしつつ、ケーブルから続くようにデザインされた「L/R」表記がしゃれた雰囲気を醸し出している。

「DM008」のホワイト/シルバー。スペックは、周波数特性が20〜2万Hz、インピーダンスは32オーム、感度は110dB±3dB。重量は85グラム

 より特長的なのは、DM008に採用された独自の「Power Dynamic Driver」だ。振動板の外周部にリング状のネオジウムマグネットを配置するというユニークな構造とし、振動板自体は8ミリ径ながら、一般的な10ミリ径ドライバーよりも大きなマグネットを使用できることになった。また振動板の素材自体も一般的なPETではなく、「理想的な音響特性を持つ高性能フィルムを使用している」。ちなみに素材は「秘密」だ。

ドライーバーの構造(左)。DM008の分解図(右)

 またDM008の日本先行投入にあたっては、サエク側の協力で日本のオーディオ評論家と一緒に音質チューニングを行った。「目指したのは、クラスを超えた音作り。Dynamic Motionは、大手ユニットメーカーだけに振動板に使うフィルム加工装置や金型などの設備もそろっている。自社内で素早く精密に加工できるため、時間的、コスト的なメリットは大きい」(北澤氏)。1年間に渡るやりとりの末、高い解像度で、低域から高域まで帯域バランスに優れたサウンドを実現したという。

ほかにもあるオリジナルの振動板技術

 このほかにもDynamic Motionはユニークな振動板技術を有している。例えば「Balanced Dynamic Driver」(バランス型ダイナミックドライバー)は、2種類の異なる素材を使用したフォーミング振動板を使った10ミリ径のドライバー。振動板に大きめの凹凸を設けてひずみを抑え、まるでバランスド・アーマチュア型のようなクリアな音を実現するという。

「Balanced Dynamic Driver」(バランス型ダイナミックドライバー)と「Ergo Dynamic Driver」(人間工学的ダイナミックドライバー)の概要

 一方、楕円(だえん)形の振動板を採用した「Ergo Dynamic Driver」(人間工学的ダイナミックドライバー)は、コンパクトな形状で装着性を維持しながら、「円形の16ミリ径ドライバーに匹敵する音が出せる」という。

 両社は今後、開発速度を早め、春頃には「DM008」の上位モデルとなるフルメタルボディーの製品を発売する計画。さらに「来年の今頃には、Balanced Dynamic Driverか、Ergo Dynamic Driverのいずれかを採用した製品を出したいと考えている」(北澤氏)。

発表会の様子

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