コラム
» 2015年04月30日 15時21分 UPDATE

本田雅一のTV Style:訴求すべきは“4K”より倍速とHDR――IFA GPCリポート(1) (1/2)

「IFA」のプレビューイベントが開催された。今回は、4Kを中心とした映像分野の製品・市場トレンドについて、ディスプレイパネルの市場動向や製品動向を交えつつ分析していこう。

[本田雅一,ITmedia]

 毎年9月にベルリンで開催される世界最大規模の家電ショー「IFA」のプレビューイベントが、地中海はマルタ共和国のサン・ジュリアン市で先日行われた。プレビューイベントといっても、当然ながら年末の商品が並ぶわけではない。しかし、IFAに出展予定のメーカーが現情勢に関する分析と商品戦略について説明したり、GfkやiHS(映像デバイス調査会社のディスプレイサーチを買収した企業)が市場動向と分析結果を発表したり、多様な国のプレスがディスカッションをするなど、豊富な記者向けイベントが売りだ。

ts_ifagpc01.jpg 「IFA Global Press Conference」の模様

 Global Press Conference(GPC)と名付けられたこのイベントは、すでに4月の定番イベントと化しているが、実際のところ世界中に大小さまざまな国からプレスが集まり、交流し、意見を聞く機会というのはあまりない。メーカーにしても、例えば独グランディッヒなど、われわれには馴染みの薄い、しかし歴史あるメーカーの意見に触れる機会というのはなかなか貴重だ。

 さて、そうした中で本誌では2つのテーマで、GPCのダイジェストをお伝えしたい。1つはディスプレイパネルの市場動向や製品市場の分析を交えながら、4Kを中心とした映像分野の製品・市場トレンドについて。もう1つは、オーディオ機器に関する世界的なムーブメントに関する話題をギブソンの例を挙げながら取り上げる。今回は映像関連の話題について書き進めることにしよう。

 まずはディスプレイパネルのトレンドについて、最新の市場トレンドについて報告があった。これはiHS(ディスプレイ情報専門のリサーチ素子委、Display Searchを買収した調査会社)による報告で、4Kディスプレイ(テレビ)への移行についてのデータを整理したものだ。といっても、意外性のある話題というわけではない。

 テレビに関しては4Kへの移行が予想以上に早く進行していることは、これまでと変わっていない。日本の場合、むしろ4Kテレビの立ち上がりが先行していたこともあり、現状を追認した分析だった。

 主任アナリストのポール・グレイ氏は、4K市場の現状をテレビ、ストリーミング、放送、ディスクの4分野に分けて説明した。

ts_ifagpc02.jpg 主任アナリストのポール・グレイ氏

 2013年は、4Kテレビの8割程度が中国市場で売れている状況だった。大型テレビが好まれる傾向に加え、中国産パネルを使った4Kテレビが、画質面での恩恵を期待できないシステムのままで売られていても、”4K”というお印で売れていたためだ。しかし、この状況は2014年から変化し、徐々に他地域でも売れ始めている。2014年第4四半期には、4Kテレビ市場における中国のシェアは約46%にまで下がった。

ts_ifagpc03.jpg 4Kテレビのエリア別販売シェア。中国のシェアが徐々に落ちてほかの地域でも売れ始めている

 その分伸びているのが先進国市場だ。日本でも2014年第2四半期から出荷数が増えているが、グローバル市場での伸びを牽引したのは意外なことに北米と欧州だった。2014年第4四半期の売上げは520万台で、これは2013年同期の6.5倍以上の出荷数である。

訴求すべきはハイフレームレートとHDR

 iHSによる今後の予測だが、2018年には50インチ以上の全テレビが4K以上の解像度を持つようになるとしている。その背景には、中国市場における4K人気の高さもあって、グローバルブランドだけでなく、(低価格テレビの生産メーカーでもある)中国ローカルブランドのテレビも4K化に強く舵を切っているという事実がある。今年は、中国市場における40〜50%のテレビが4Kパネルを搭載するとの観測で、こうしたトレンドがグローバルでの4Kテレビ市場を牽引するという構図だ。

 一方で、日本のテレビメーカーが、商品力の差異化として(HD放送の)4Kアップコンバートの画質を訴求しており、それが日本国内市場での4K比率を伸ばしていくだろうとの見解も示していた。

 「日本の大手量販店では、60インチ以上のテレビを中心に高画質なデモコンテンツと丁寧な展示で4Kテレビを訴求し、フルHDテレビは売り場の隅に追いやられている」とグレイ氏。やや誤解もあるとは思うが、4Kテレビの展示方法によって、グローバルでの4Kテレビ比率がまだまだ上がっていくという可能性を指摘していた。

 その一方で訴求するべき点については、興味深い調査結果も提示した。さまざまな新しいテレビの高画質技術について、一般消費者にどれだけ画質の違いを感じたか? を調査した結果を簡単に紹介したのだ。結果は、概ね予想される通りのものだ。

ts_ifagpc04.jpg テレビの新しい高画質技術について、一般消費者にどれだけ画質の違いを感じたか? を調査した結果

 まず解像度については”より良い”ことは認識できるものの、人々をひきつけるものではないと話している。4Kの方が明らかに良いと消費者が感じるのは、フルHDテレビに比べて1.5倍のサイズ以上になったときとのこと。42インチで普段観ているのであれば、63インチ以上になったとき……という分析だ。

 一方、ハイフレームレート(毎秒の映像枚数)は分かりやすく、120Hzコンテンツは違いを認識しやすい。とりわけスポーツ番組では明らかな違いとなる。4Kコンテンツは色再現域も広いが、こちらもコンテンツ側がそれを使いこなしていることを前提に、消費者が認知しやすい違いだと指摘した。

 もっとも、一番その違いを認識できるのはハイダイナミックレンジ(HDR)コンテンツ。今年1月の「2015 International CES」以降、繰り返し業界内から、”次はこれ”というサインが出ているHDRだが、誰もが認識できる違いを引き出せるとした。

 さて、この先は欧州ドメスティックの話に近付いていくのだが、このGPC前にフランスのカンヌで開催された国際的な番組トレードショー「miptv」において、4Kコンテンツが予想以上に早く動いていたことも伝えておく必要があるだろう。

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