インタビュー
» 2015年05月28日 18時27分 UPDATE

滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」:朝の食卓においしい革命を起こす?――「BALMUDA The Toaster」のヒミツ (1/4)

扇風機や空気清浄機など空調家電を進化させてきたバルミューダ。今度は“Hello kitchen!”を合い言葉に、調理家電を手がけるという。その第1弾が5月27日に発表された「BALMUDA The Toaster」だ。そのスゴい技術について、バルミューダの寺尾玄社長に聞いた。

[滝田勝紀,ITmedia]

 「僕は毎朝パンを食べてから出社するのですが、いつも焼き上がるパンを食べながら、なんとなく違和感を感じていました。どうして普通のトースターで焼いたパンは、ホテルやベーカリーで焼いた香り高い、あの美味しそうな焼きたてパンにならないのでしょうか?」。

ts_bal11.jpg バルミューダの寺尾玄社長

 そんな素朴な疑問を口にしたのは、バルミューダの寺尾玄社長だ。これまで扇風機や空気清浄機などの空調家電を独自技術により進化させてきた同社だが、今度は“Hello kitchen!”を合い言葉に調理家電に取り組むという。その第1弾が5月27日に発表されたトースター「BALMUDA The Toaster」(バルミューダ ザ・トースター)だ。

ts_bal01.jpg 「BALMUDA The Toaster」(バルミューダ ザ・トースター)。カラーは黒と白の2バリエーション

 たしかに、普段、口にする食パンやコンビニのパンは、ベーカリーの焼きたてパンとは違う。プロが焼き上げたばかりのパンと、工場などで大量生産され、時間が経ってから店頭に並んだパンが同じわけない! といえば、当たり前といえば当たり前のことだろう。しかし、その“当たり前”に疑問を持つことが、バルミューダの革新の原点だという。

 「扇風機の時も同じでした。これまで100年以上、大きな進化もせず、単に風を送り出すだけのツールでした。長時間、風にあたり続けると疲労感を感じることも“当たり前”と受け止められていましたよね。でも、そこに疑問を感じ、より快適なものにできるはずだと『GreenFanグリーンファンテクノロジー』を開発し、誰もが気持ちの良い体験が得られる扇風機を作ることに成功したのです。今回のトースターもまったく同じです」(寺尾氏)。

ts_greenfan012.jpg 2014年の夏に発売した「GreenFan Japan」。最大15メートルという距離まで“心地良い自然の風”を届けるという。価格は3万5000円(税込み)

 トースターも扇風機と同様、これまで多くのメーカーが生産し、その技術自体もすでに枯れたもの。いわゆるコモディティー化した製品である。とはいえ、それがパーフェクトなものかというと、決してそうではない。にもかかわらず、単にヒーターの熱量を上げるか、タイマー設定が可能になった程度で、本質的に進化してこなかった。

 「これまでのトースターは、多くの家庭で使われているにも関わらず、まったく工夫がなされないまま放置されてきました。例えばパンにのせたバターをちょうどよく溶かし、美味しそうに焦げ目をつけたいと思っても、実際にはパンの耳がガビガビに乾いて硬くなってしまったりする。クロワッサンやバターロールは背が高いぶん、内部までしっかり温めようとするとヒーターに近い部分がかなり焦げてしまいますよね。フランスパンだって、僕が大好きなチーズトーストだって、まったく同じように“どこか不満の残る焼き上がり”でした。でも、みんなが諦めてしまっていた。その“当然の不満”を解決したかったのです」。

ts_bal05.jpg 庫内は食パンが2枚入るほどの大きさ

ts_bal15.jpg 「BALMUDA The Toaster」で焼き上げたクロワッサン。一切焦げていないが、しっかりと焼けている

 某輸入自動車代理店のCMで「クルマを作っているのではない。クルマのある人生を作っている」という名キャッチコピーも存在するが、寺尾氏も「メーカーがモノを大量に売る時代は終わり、これからはメーカーが“素晴らしい体験”こそを売る時代に変わった」と熱く語る。そのために今回の「BALMUDA The Toaster」は開発された。

 「これまでバルミューダは空調家電の分野を開拓してきましたが、今回はトースターというそれとはまったく別分野である調理家電を変えました。ただ、その状況だけを見ると、急に社長の気まぐれでトースターだけを開発したと思われてしまうかもしれません。別にわれわれはスゴいトースターを作りたかったわけではなく、自分と同じように考えている多くの人たちに本当に“美味しい”という体験をしてほしかったのです。美味しいという体験はなににも変えがたいものであり、全人類にとっても非常に貴重なもの。そこに真剣であるという意味も込めて、“Hello kitchen!”というフレーズを掲げました。またBALMUDA〜という冠名で統一することで、ラインアップ感も高めていくつもりです」。

 さらに寺尾氏は、「ここだけの話ですが……」と前置きしつつ、「今後は、さらにコーヒーメーカーや炊飯器など、さまざまな調理家電をどんどん発表していく予定です。すでに開発には着手しています」と明らかにした。

きっかけは「土砂降りのバーベキュー」

 そんな強い想いがこもった「BALMUDA The Toaster」だが、では、いったい通常のトースターとはなにがそんなに違うのか? まずはトースターとしては珍しく、焼く時に“水を使う”点が大きく違う。寺尾氏は、開発のきっかけになった、ある出来事について話はじめた。

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