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気分やインテリアに合わせて6つの変化が楽しめるスピーカー、ソナス・ファベール「カメレオン」潮晴男の「旬感オーディオ」(1/2 ページ)

» 2015年12月10日 11時57分 公開
[潮晴男ITmedia]

 カメレオンというと、皆さんは何を思い起こすでしょうか。当然のことながら体の色を周囲の物に合わせてころころ変える、爬虫類のカメレオンですよね。目玉がぎょろっと大きく左右それぞれ別個に動かすことができるという特異な動作が可能な、あの動物です。ぼくがもう1つ、カメレオンで思いだすのは、かのジョニー・デップが声優として出演した「ランゴ」かな。西部劇やマカロニウエスタンを下敷きにしたような作りと声でも快優ぶりを発揮するジョニーの演技は、お子様向けのアニメとは一味違う面白さをもたらしていたような気がします。

ソナス・ファベールの「カメレオン」シリーズ

 話は変わって今回はスピーカーのお話。そのカメレオンという名前を使ったスピーカーがイタリアのソナス・ファベールからリリースされたのである。ソナス・ファベールといえば、1988年に登場した衝撃のデビュー作、「エレクタアマトール」が今もぼくの記憶に残る。この製品は18cm口径のウーファーと20mm口径のシルクドームのツィーターで構成される2Wayのブックシェルフ型だったが、ツィーターとウーファーを極力近接に配置するため、ツィーターのフレームを三日月形にカットした斬新な発想と、木工技術の粋を尽くした美しい仕上がりのエンクロージャーにまず目を奪われたことを思いだす。もっともこれだけなら何時しか忘れ去ってしまったことだろう。ところが形の美しいこのスピーカーはそれにもまして豊かに鳴り響くサウンドを聴かせてくれたのである。

 ソナス・ファベールの創始者であるフランコ・セルブリンさんはイタリアの北部にあるヴィツェンツィアで歯科医を開業していた。その彼がスピーカーメーカーを興したのは大のオーディオ好きが高じてのことである。最初は細々と知人友人の求めに応じての物を作るローカル・メーカーだったが、「エレクタアマトール」はそのローカル・メーカーを一躍世界のスピーカーメーカーに押し上げたのである。

 こうしてソナス・ファベールは次々とヒット作を送り出す。やがてフランコさんは引退し、ソナス・ファベールは彼の元から離れることになるが、マーク・レビンソンやクレル同様、創始者がいなくなってもそのDNAはしっかりと受け継がれて今日に至っている。

モノ作りの思想は受け継がれている

 新製品のカメレオンにはシリーズモデルとしてブックシェルフ型の「カメレオンB」とフロアスタンディングの「カメレオンT」、そしてホームシアターのためのセンタースピーカーとなる「カメレオンC」が用意されている。

 そしてこのシリーズの特徴はオール、イタリア製であるということ。スピーカーユニットは一部スキャンスピークスにオーダーした特注のものもあるが、ユニットとエンクロージャー、ネットワーク用の部品はすべてイタリア製だ。そしてもう1つの大きなセールス・ポイントが名前のごとくの色変わり機能である。カメレオン・シリーズには6色=「ブラック」「メタリックグレー」「メタリックブルー」「レッド」「オレンジ」「ホワイト」の側板が用意されていて、気分に応じ、あるいは室内のインテリアにマッチするようカラーコーディネートすることができるのである。

「ブラック」「メタリックグレー」「メタリックブルー」「レッド」「オレンジ」「ホワイト」の側板が用意されている
側板の色でかなりイメージが変わる

 写真をご覧いただけばお分かりの通り、このシリーズモデルの側板は着脱可能だ。そしてこの側板を交換することで着せ替えができる。もちろんオーダー時には指定の側板がセットされてやってくるが、後々この側板だけを別途2枚セットで購入すればカメレオン機能を生かすことができるのである。側板は美しい塗装がなされているのでいずれも引き立つが、取り付け方にも配慮がなされているし、側板は4層で構成され余計な共振や不要な振動は一切出ない。この辺りの念入りな設計もソナス・ファベールらしい部分である。

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