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ミーレのチーフデザイナーが考える新しいキッチンのカタチ滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(1/4 ページ)

» 2016年01月29日 06時00分 公開
[滝田勝紀ITmedia]

 1899年の創業以来、「IMMER BESSER」(常により良いものを)という理念の元で数多くの家電を生み出してきたドイツの高級家電メーカー、Miele(ミーレ)。同社は昨年、オーブンなどのビルトイン調理機器をフルモデルチェンジし、先に発売していた食器洗い乾燥機を合わせて「Generation 6000シリーズ」を完成させた。

「Generation 6000シリーズ」。一般的なオーブンレンジに加え、家庭用の調理機器としては珍しい「スチームコンビオーブン」や、日本では馴染みのない低温調理器「グルメビルトインウォーマー」(85度以下でじっくり肉を焼く)などもラインアップしている

 「Generation 6000シリーズ」は、全製品のフロントパネルに一貫したデザインを採用し、操作パネルの大きさも共通化するなど、キッチンのトータルコーディネートを想定した製品群になっている。無駄をそぎ落としたシンプルなデザインが目をひくが、一方でスマートフォンのように画面のタッチやスワイプで直感的に操作することができる「Mタッチ操作パネル」(オーブンの上位モデルに採用)や、ノックするとドアが半開きになる「Knock 2 Open」(食洗機に採用)など、最新技術を駆使した提案も多い。今回は、「Generation 6000シリーズ」のチーフ・デザイナーを務めるイェンス・コイネケ氏に、ミーレの考えるデザインについて詳しい話を聞いていこう。

「Generation 6000シリーズ」のチーフ・デザイナー、イェンス・コイネケ氏

主張し過ぎないデザイン

――最初に製品をデザインする上で大切にしていることを教えてください

コイネケ氏:ミーレでは、常にデザインでブランド価値を高めることを重視しています。ブランド価値とは信頼性、品質、そして長く愛せるということ。さらには耐久性も。そういった要素が最終的に人を魅了するミーレならではの、“タイムレス”や“エレガンス”といったキーワードにつながるからです。

 また常に意識しているのは、“主張しすぎないこと”です。どの製品のデザインをみても、すごく落ち着いて、エレガントなものになっています。

――それは製品のどういった点に反映されているのでしょう

コイネケ氏:例えば「Generation 6000 シリーズ」については、実はステンレススティールの部分を従来よりも少なくすることで、よりエレガントさを強調しました。前シリーズ「Generation 5000 シリーズ」と比べると一目瞭然ですが、ステンレススティールの素材をふんだんに使っていたのですが、今回は見た目にももう少し軽量な印象で、デザイン的にも少し繊細になっていると思います。

――なぜステンレススティールを減らすことがエレガンスさを強調することにつながるのでしょうか?

コイネケ氏:ステンレススティールを使うことは、保守的な感じの方に好まれる傾向があるとミーレでは考えています。ステンレススティールは業務用やプロフェッショナルな精緻性を感じさせる素材で、欧州ではビルトイン家電にすでにありがちなイメージです。欧州では「Generation 6000 シリーズ」の中に、下の「セカンドライン」(日本では未発売)があり、そちらには実際ステンレススティールが数多く使われています。よりマスな製品を届けるという目的の上ではいいと思います

「Generation 6000 シリーズ」の「セカンドライン」(日本では未発売)

――「Generation 6000 シリーズ」はトップラインだから、よりデザイン的により高みへと進化させつつ、ミーレの歴史が受け継ぐエレガンスさを強調したということですね?

コイネケ氏:そうですね。ただ、それだけではなく、時代時代において新しい技術やトレンドもデザインしていかなければなりません。そこで今回はビルトイン調理家電に共通する「Mタッチ」という新しいインタフェースを採用しました。もちろん、これまでののようにノブを使ったインタフェースの良さもありますから、「Mタッチ」をデザインする上では、さまざまなユーザーを観察しました。

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