春のヘッドフォン祭2016
MrSpeakers、同社初の静電型ヘッドフォン「ETHER Electrostatic」の試作機を公開(1/2 ページ)
「MrSpeakers」(ミスター・スピーカーズ)という名前のヘッドフォンメーカーが日本に上陸したのは、昨年秋に開催された「秋のヘッドフォン祭2015」だった。それから半年。個性的な新製品が数多く集まるヘッドフォン祭に、独自の振動板技術「V-Planner」を搭載する平面磁界駆動型ヘッドフォン「ETHER」(イーサー)シリーズの新製品をひっさげて、創設者のダン・クラーク氏が帰ってきた。
同社製品を取り扱うエミライが開催した発表会でクラーク氏がお披露目したのは、同社としても初の試みになる静電型ヘッドフォンだ。まだ仮に付けられた名前だが、発表会の壇上では「ETHER Electrostatic」(以下:ETHER ES)として紹介された。今年中に完成させ、商品として出荷する計画を立てている。
MrSpeakersは昨年、平面磁界駆動型ヘッドフォン「ETHER」と「ETHER C」を発売。日本や欧米、アジアのヘッドフォンに感度の高い地域を中心に多くのアワードを獲得してきた。クラーク氏は「今年に入ってからも海外のオーディオ誌でETHER Cが、平面駆動タイプの密閉型ヘッドフォンとして高い評価を得た」と胸を張る。
今回クラーク氏が持参したETHERの静電型ヘッドフォンは、先行するETHER/ETHER Cとチューニングの方向性をはじめ、いくつかのコンセプトを共有しているが、基本的には音を鳴らすための構造が異なり、製造工程にも大きな違いがあることから、クラーク氏にとっても新たな挑戦だったという。
ヘッドフォン祭の会場に持ち込まれたプロトタイプは開放型のETHERに近いデザインを採用。赤色だったフレームはダークブルーに変更されている。ハウジングの形状は開放型だ。本機を開発した背景を、クラーク氏は壇上で次のように説明している。
「静電型ヘッドフォンのサウンドは私にとっても憧れのものだったが、一方でこれが私の求める最終形ではないという思いも強くあった。先行するETHERシリーズのサウンドチューニングをベースに、力強い低域と、透明感あふれる中高域を加えて、なおかつ静電型独自の歪(ひずみ)のない透明感と解像感をミックスした、良質な静電型ヘッドフォンを自分の手で作りたいという思いからETHER ESの開発に着手した」(同氏)
ETHER ESには、MrSpeakersが独自に取得した7つの特許技術が投入されている。クラーク氏は今回の来日機会でその詳細について言及することは控えたものの、エミライのブースに用意された試作機で、その実力を確かめることができた。
短時間でのリスニングではあるものの、既存の静電型ヘッドフォンの印象を良い意味で裏切る厚みのあるタイトな低音が特徴だ。ボーカルやリズム楽器の定位感が驚くほど鮮明に表れる。ピアノやベースの音像が立体的に浮かび、彫りの深い音の輪郭が細部まで見渡せるほど解像感も豊かだ。またもや“MrSpeakersのヘッドフォンにしか出せない音”がここに生まれそうな胎動を感じさせてくれた。なおETHERでも評価の高かった柔軟なヘッドバンドのフレームやイヤーパッドのクッションを活用しているため、装着感も非常に心地よかった。質量も300gと、同クラスのヘッドフォンに比べてライトウェイトに仕上がっている。
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