レビュー
» 2017年08月25日 16時22分 公開

ソニーの有機ELテレビ「KJ-65A1」と比べて分かった“液晶の限界” (1/2)

4社から登場した有機ELテレビ。今回はソニー「KJ-65A1」を取り上げる。液晶フラグシップ「Z9D」も一緒にチェックしたが、改めて液晶タイプの画質面の限界を思い知ることになった。

[山本浩司,ITmedia]

 4社(LGエレクトロニクス、東芝、ソニー、パナソニック)の最新65型有機ELテレビの画質・音質を徹底テストするという専門誌(月刊『HiVi 』9月号、ステレオサウンド刊)の企画に参加した。

今回のテーマ、ソニー「KJ-65A1」

 いずれも白色有機ELパネルにWRGB(W=ホワイト)のカラーフィルターを組み合せたLGディスプレイ製パネル採用機だが、実際に様々なコンテンツを表示させ、同時比較してみると、予想以上に持味の違いがあることが分かり、とても興味深かった。

 もちろん幾度となく各メーカーに出かけてそれぞれのモデルをチェックしてきたが、一堂に集めて比較視聴してみると、違いがくっきりと浮かび上がるわけで、つくづく人間は相対比較する動物なのだナと思う。

 4モデルのなかで画質面で改めて感銘を受けたのは、東芝「65X910」と今回取り上げるソニー「KJ-65A1」だった。両モデルのそれぞれの魅力を一言でいえば、放送のオンエア画質を含めたオーバーオールの画質のよさで東芝機、Ultra HD Blu-rayなど上質なコンテンツを趣味的に究めるならソニー機ということになる。

 またこのテストでは、個人的にも液晶テレビ史上最高画質と信じて疑わないソニー「Z9D」シリーズの65型モデルも同時にチェックしたが、最新有機ELテレビと比較してみて、改めて液晶タイプの画質面の限界を思い知ることになった。

ソニーの液晶テレビ「65Z9D」

 パネル背面に配置されたLEDバックライトを個別に減光できるZ9Dだが、画素1つ1つの明るさを制御できる自発光デバイス=有機ELの漆黒の表現にはとても敵わないことが改めて強く実感したし、首を少し振るだけで色合いやコントラスト感が変化する視野角の狭さはいかんともし難いと痛感した。それから微妙な動きの映像がボケずに解像感が維持される点は、大画面テレビにおける有機ELの液晶に対する大きなアドバンテージだということも。

 「いやいや明るさ、ピーク輝度では有機ELは液晶にかなわないでしょ?」とおっしゃる向きもおありかと思うが、 200lx(ルクス)前後の通常のリビングルーム照度環境であれば(外光がガンガン入る昼間の明るい部屋でなければ)、現行の有機EL大画面テレビはすでに十分過ぎる画面輝度を獲得していると言って間違いない。家電量販店のテレビ売り場が明るすぎるのである。あんな蛍光灯だらけのまぶしい環境下で良質なコンテンツを観ようという人などどこにもいないと思うのだが……。

 さて、今回の連載では「Ultra HD Blu-rayなど上質なコンテンツを趣味的に究めたいなら〜」と先述したソニーKJ-65A1の魅力について触れてみたい。

有機ELパネルにアジャストした映像エンジン

 本機に採用されたのは、LGエレクトロニクスの「6P」シリーズや東芝X910シリーズに採用された2016年パネルに比してピーク輝度で25%アップを果たし、1000nit(カンデラ/平方メートル)相当の明るさを獲得したパネルである。加えてパネル表面には新たにブラックフィルターが貼られ、黒の質感を高める工夫が施されている。

 後方に少しスラントさせ、画面下部にスタンドがまったく見えないA1のエクステリアはとても斬新だ。 1枚のガラス板にように見える幾何学的な美しさで貫かれた、ソニーらしい都会的なセンスが横溢した見事なデザインだと思う。

1枚のガラス板にように見える幾何学的な美しさ

 それから筆者が注目するのは、パネル後方に左右独立の振動子(アクチュエーター)を配置し、パネルを振動させて発音する「アコースティック・サーフェス」の採用だ(低音はディスプレイ後方に後ろ向きに配置された80mmコーン型ウーファーが受け持つ)。

 筆者は本連載で繰り返し映像と音像位置の合致の必要性を述べてきたが、この発音方式なら、サウンドスクリーンの後方にスピーカーを配置した映画館のように、画面上に映し出された人物がほんとうにしゃべっている、歌っているという実感が得られやすいはず(音質については後述)。

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