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ついに発売の「EARIN M-2」を試聴 延期の理由は「大型台風」

» 2018年03月16日 16時45分 公開
[井上輝一ITmedia]

 2017年の夏に発表された、完全ワイヤレスイヤフォンの「EARIN M-2」。当初は17年秋発売としていたが、延期となり、18年2月下旬に初回ロットの販売が始まった。販売を延期せざるを得ない理由は「大型台風の直撃」だったという。

2月下旬から販売を開始した「EARIN M-2」

 EARIN M-2は、左右のイヤーピースが分離した“完全ワイヤレス型”イヤフォンで、クラウドファンディングで150万ドルを集めた「EARIN M-1」の後継機。左右のイヤフォンを接続する近距離磁気誘導技術の採用や、マイクから周囲の環境音を取り込む機能、イヤフォンでのタッチインタフェースなどを搭載しており、発表から注目を集めていた。

 17年秋の発売を見込んでいたが、17年8月下旬に大型の台風13号と14号が、部品や組み立て工場のある香港を直撃。生産ラインに壊滅的なダメージを受け、新規の工場確保などに数カ月かかり、ブラックモデルが先行して18年2月の発売となったという。シルバーモデルは充電カプセルの色味変更を検討中としており、6月の発売を予定している。

台風の直撃により生産が遅れたという

 定価は2万9800円(税別)と安くなく、現在も十分な量を生産できていないというが、発売初週の2月26日には「価格.com」で「イヤホン・ヘッドホン」「カナル型イヤホン」「Bluetoothイヤホン」の3カテゴリーの売れ筋ランキングで1位を獲得するなど注目の的だ。

「価格.com」で「イヤホン・ヘッドホン」「カナル型イヤホン」「Bluetoothイヤホン」の3カテゴリーの売れ筋ランキングで1位を獲得したという

試聴のファーストインプレッション

 実機で試聴することができたので、製品の特徴や音質のファーストインプレッションを述べていこう。

 充電カプセルのサイズは23.0(高さ)×99(直径)mm、重量56gとM-1(21.0×95mm、42g)からやや大型になった。充電時には充電カプセル、左右イヤフォンと計3つのLEDインジケーターで個別に充電状態を確認できる。

左右イヤフォンを収納するカプセル下部にそれぞれのLEDインジケーター、カプセルのUSB端子部にカプセル自身のLEDインジケーターがある

 カプセルへのイヤフォンの収納は、M-1ではメカニカルにホールドさせる仕組みだったものがM-2では磁石によるホールドに変わり、カプセルを開けた状態で逆さにしてもイヤフォンは落ちないという。

 カプセルのトレイには金属とABS樹脂を使用。ABS樹脂のみだったM-1に比べて強度を上げた。

 イヤフォン部は片側のサイズが21(高さ)×14.5(直径)mm、重量4gとM-1(20×14.5mm、3.5g)から重くなったが、M-1がストレートな円筒状のデザインであったのに対し、M-2はより耳にフィットするようなエルゴノミクスデザインにしたことから、体積はM-2の方が小さくなっているという。

イヤフォンを手のひらに乗せた時のサイズ感

 ドライバーには従来機と同様にバランスド・アーマチュア型を1基搭載。M-1に比べ低音が出るタイプを採用したという。

イヤフォン部の側面
底面には充電カプセルに対応する充電端子がある
イヤーチップはフォームタイプ

 実際に試聴してみると、当初からイコライザーでベース部をブーストしたかのような味付けになっている。短い試聴の上、エージングにもかけていないので多くは語れないが、スマートフォンゲームを立ち上げて女性のキャラクターボイスを聞いた時に「低音を強調しているせいか、やや声がぼやけて聞こえる」と感じた。

耳がふさがっているのに外の音がはっきり

 聞いてみて感動したのは、周囲の環境音をマイクで取り込んで耳へ届ける「オーディオトランスパレンシー」機能だ。

 左右のイヤフォンはそれぞれ2つのマイクを搭載しており、ノイズキャンセリングや環境音取り込み、マイク通話ができるとしている。

 M-2のデフォルト設定では「音再生時にはオーディオトランスパレンシーオフ(環境音を通さない)、再生していない際にはオン(環境音を耳へスルー)」となっている。初めに着けた時、「イヤーチップがフォーム型なのに大して遮音しないな」と思ったのだが、この機能がオンになっているからだった。それくらい外部の音を自然に耳へ通すので、M-2を着けたまま外に注意を払うのもかなり容易に感じる。

 装着時に耳から出る面にはタッチインタフェースがあり、1回タップで再生/停止、2回タップで次の曲、3回タップで前の曲というように操作できる。長押しで「Siri」や「Google アシスタント」を立ち上げることもできる。

 フル充電からの再生時間は4時間で、フル充電のカプセルからはイヤフォンへ3回充電することができるという。

内容物一覧

 ちなみに、EARIN社は1月にi.am+社に買収されたが、「今後もM-1とM-2をi.am+ブランドの下で継続的にサポートしていく」と声明を出している。

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