3キャリアが通信の「実効速度」を公開――総務省のガイドラインに基づき測定
総務省のガイドラインに基づき、実際の利用シーンに即した数字を表記すべく、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが、通信サービスの「実効速度」を公開している。総合カタログや公式サイトでも、この実効速度を並記していく予定だ。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、2015年12月下旬から、通信サービスの「実効速度」を案内している。これは、総務省が定めたガイドラインに基づいて計測されたもの。
実効速度公開の背景
携帯電話の通信速度は「下り最大150Mbps」「上り最大50Mbps」といった理論値(ベストエフォート)で案内されているが、実際の通信速度とは大きな隔たりがあることが多い。また、調査機関やメディアが実施している実効速度のリポートも、基準がバラバラで、公平に比較できる指標になりえなかった。
そこで総務省は「インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会」を立ち上げ、実際の利用シーンに即した通信速度をユーザーに案内できるよう「移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの実効速度計測手法及び利用者への情報提供手法等に関するガイドライン」を策定した。3キャリアとも同じ測定方法で通信速度を計測するため、より客観性の高い数値に近づく。
計測の条件
計測場所は、政令指定都市と県庁所在地を人口規模で3つに分類し、ランダムに選定された3都市と東京都特別区の合計10都市。この中から300メッシュ(1メッシュ500メートル四方)×5地点の計1500地点で計測した。期間は2015年10月から12月まで。
計測時間は通信が特に混雑する時間帯を選び、オフィス街と繁華街は12時から18時まで、住宅街は15時から21時までに計測。1地点で3回計測した平均値を出した。計測ツールには、総務省が定めたガイドラインに基づき作成された共通ソフトを使用した。
3キャリアの計測結果
集計したデータは、バラツキのあるものを分かりやすく表示するための「箱ひげ図」にて表示する。各社は、この箱ひげ図の中央値に近い半数(小さい方から4分の1の値、中央値、大きい方から4分の1の値)を、平均値として公開している。ドコモはAndroidとiOS別に上下の平均値を公開しているが、KDDとソフトバンクはAndroidとiOSを合算した平均値を出している。また、KDDIは上りの平均値は公開していない。各地域の詳細な測定結果は、各社のWebサイトから確認できる(関連リンクを参照)。
各社の平均値は以下の通り。
ドコモ
- Androidの実効速度(下り):53〜91Mbps
- Androidの実効速度(上り):13〜28Mbps
- iOSの実効速度(下り):49〜89Mbps
- iOSの実効速度(上り):14〜30Mbps
KDDI
- AndroidとiOSの実効速度(下り):50〜103Mbps
ソフトバンク
- AndroidとiOSの実効速度(下り):42.5〜76.6Mbps
- AndroidとiOSの実効速度(上り):16〜26.1Mbps
3キャリアとも、これらの数値(実効速度の平均値)を、総合カタログや公式サイトなどで、理論値と並記していく予定。
関連記事
- ICT、格安スマホ&大手携帯キャリアの通信速度実測調査を発表――速度の差が顕著に
ICT総研は「2015年9月 格安スマホ&大手携帯キャリア 通信速度実測調査」の結果を発表した。対象はNTTドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイル、OCNモバイルONE、楽天モバイル。 - ICT、北陸新幹線の全13駅で通信速度調査――下りはau、上りはソフトバンクがトップ
ICT総研は、主要なデートスポットでNTTドコモ、au、ソフバンク、ワイモバイルのデータ通信速度を調査。僅差ながらauが下り26.57Mbpsでトップとなった。 - ICT、“東京デートスポット”で電波状況実測調査を実施――auが下り26.57Mbpsでトップ
ICT総研は、主要なデートスポットでドコモ、au、ソフバンク、ワイモバイルのデータ通信速度を調査。僅差ながらauが下り26.57Mbpsでトップとなっている。 - キャリアはau、都道府県は宮崎――ICT総研のスマートフォンつながりやすさ満足度調査
ICT総研の「2014年7月 スマートフォン つながりやすさ満足度調査」が発表。携帯キャリア別ではauがトップとなり、都道府県別では宮崎・静岡・福岡が上位となった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.