「海外」に流出? 大手キャリアの「下取りスマホ」の行方
他の先進国と比べて「中古携帯電話端末市場」の立ち遅れが指摘される日本。その原因の1つとして、大手キャリアが下取りした端末の「海外流出」が挙げられている。大手キャリアは、下取りしたスマートフォンをどのように扱っているのだろうか。
総務省が2017年12月に立ちあげた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」。その検討内容の1つに「中古携帯電話の国内流通」が挙げられている。
日本での中古携帯電話市場は、他の先進国と比べて盛り上がりに欠けていると言われている。このことに関連して、第2回会合(関連記事)では、中古端末販売業者の団体「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」やコンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン」から主に以下のような指摘があった。
- 中古端末に「ネットワーク利用制限」というリスクがある
- メーカー純正の修理部品が供給されない
- 大手キャリア(MNO)が中古端末を取り扱っていない
- 中古端末のSIMロック解除について、厳しい制限がある
- MNOが下取りした端末が国内の中古市場にほとんど出回らない
- 中古端末の企業間(B2B)取引市場がない
1月22日に開かれた検討会の第3回会合では、MVNO(トーンモバイル)、全国携帯電話販売代理店協会、MNOとその関連会社(NTTドコモ、KDDI、UQコミュニケーションズ、ソフトバンク)からの意見聴取が行われた。
この記事では、MNOが中古端末について言及した部分に絞って概要をお伝えする。
下取り端末の国内流通は「制限していない」
ヒアリングに参加したMNOのうち、KDDIとソフトバンクは下取り端末の「その後」について提出資料内で言及している。両社とも下取り端末の国内流通を規制している事実はないという。
下取り後の端末について、KDDIは「複数の中古買い取り事業者」に、ソフトバンクは「3社程度のパートナー企業」にそれぞれ売却しているという。売却後の端末の行方(扱い)については、両社ともに「正確には把握していない」としている。
一方、NTTドコモは端末の下取り価格の適正化には触れたものの、流通については言及しなかった。
「ドコモではどうなのか?」と構成員に質問された同社は、下取り後の端末は一部をパートナー企業に売却し、「ケータイ補償サービス」の交換機、故障修理時の代替機、あるいはリサイクルに回すこともあると説明。売却後の端末の行方については、KDDIやソフトバンクと同様に把握していないという。
つまり、3社ともに業者に売却した下取り端末のその後については関知していないということになる。あくまでも業者の自主的判断でリセールバリューの高い端末を海外に売却している、というスタンスだ。
解約済み端末のSIMロック解除に対する厳しい制限の緩和については、「解約時にSIMロック解除手続きを促すようにしている」「盗品が含まれる可能性がある」といった理由でどちらかというと後ろ向きな様子がうかがえた。
中古端末取引市場については「要望があれば議論・協力」
今回の会合では、第2回会合でRMJやベインが言及した「中古端末のB2B取引市場」について構成員が「どう思うか?」とMNOに所感を尋ねる場面もあった。
MNOは「要望があれば議論したい」「できるのであれば協力する」「ニーズを見つつ考えたい」と比較的前向きな意見を述べた。
ただ、ソフトバンクは「(単に)価格を安くしても中古端末に対するニーズは出てこない」とし、端末購入補助のあり方と合わせて検討する必要があることを指摘した。
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