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「ウイルス」×「悪役」×「北朝鮮」International Feel(1/2 ページ)

» 2004年01月30日 23時59分 公開
[松尾公也,ITmedia]

「ウイルス」×「悪役」

 このウイルスのニュースが最初に登場したのは、1月27日。瞬く間に過去最悪のペースで蔓延してしまった。詳報が出てくると、Symantecの担当者の口から、新たな事実が明らかになった。このウイルスが、SCOのウェブサイトにDoS攻撃を加えていることが判明したのだ。

 SCOといえば、前回のInternational Feelでも取り上げているように、オープンソース/Linuxへの敵対行為で話題の企業。SCOは、今回の攻撃に関与した人物の特定に向けて、米シークレットサービス、FBIなどの法執行機関と協力し、25万ドルの懸賞金を提供するという。「悪役」でならしたSCOだが、今回は「被害者」というわけだ。

 SCOと並ぶ、もうひとつの「被害者」は、同じく反Linux/オープンソース陣営として知られているMicrosoft。MyDoomの亜種であるMyDoom.Bは、PCのウイルス対策ダウンロードを妨害し、MicrosoftのサイトへのDoS攻撃も仕掛けることが分かった。プラットフォームそのものがウイルスの巨大ターゲットとなっているMicrosoftは、これまでにBlaster、Sobigに対してこれまでに25万ドルの懸賞金を提供しているが、今回のMyDoom.Bについても、情報提供に対する報償金を出す。対オープンソースに続き、対ウイルスでも手を組む、というわけだ。

 同ウイルスの感染規模は、過去の「Sobig.F」を超える最悪のペースで進んでおり、「史上最悪」を認定したセキュリティ企業も出ている。本誌セキュリティ担当の高橋睦美による解説では、ここまで広まったのは、巧みなソーシャルエンジニアリングが組み込まれているからだと分析している。ここまで高度化したウイルスに対抗するには、最新のパッチを当てた上で、「例え“知り合い”からのメールであっても、不用意に添付ファイルを開いてはならない」「例え“エラーメッセージ”であっても信用はできず、不用意に添付ファイルを開いてはならない」といった注意事項を守るしかない。

「著作権」×「北朝鮮」

 ウイルス作者に懸賞金を賭けるのは、まあ、間違ったことではないと思うが、「北朝鮮はLinuxのせいでスパコンを手に入れる」という主張には、首をかしげる人も多かったのではないだろうか。連邦議員535人に対し、Linuxとオープンソースが米国の国益と安全に反するものだという手紙をCEOのダール・マクブライド名義で送りつけていたことが判明したのだ。

 その手紙には、「北朝鮮のコンピュータ専門家は多数のパーソナルコンピュータを持っており、インターネット接続により最新版のLinuxを入手することができる。UNIXから盗用したマルチプロセッシング機能と組み合わせれば、短期間で事実上のスーパーコンピュータを組み上げることができる」と書いてある。この手紙で、連邦議会が動かされるのかどうか、アメリカに良識が残っているのを希望したいところだが、リーナス・トーバルズ氏は「輸出規制が適用されているのはハードウェアにであって、ソフトウェアにではない」と冷静に言っていることだし、真剣に憂慮すべきことではないかもしれない。

「ゲイツ」×「欧州」

 スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム出席のため、欧州ツアー中のビル・ゲイツ氏は、各地で話題を巻き起こしている。まずは、「サー」はつかないけど、ゲイツ氏に大英勲章という記事では、ゲイツ氏が英国の名誉爵位が与えられたことが報じられた。ダボスでは途上国のIT支援で国連機関と協力を打ち出した。

 ウイーンでは、「ソフトウェアによるシームレスの実現」を予見(ユビキタスとどう違うのか、よくわからないが)し、ダボスではスパム業者の「財布を攻撃」する対策を公開している。「受信者は、知らない相手から受け取る電子メール対して、好みに応じて金銭的リスクのレベルを設定する」というアイデアらしいが、果たして実現するのかどうか。

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