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リサイクルが生む利益 NECの環境経営

» 2005年06月13日 15時46分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 NECは6月13日、2004年度の環境関連活動の結果をまとめた「環境アニュアルレポート 2005」をWeb公開した。環境負荷を抑えながら持続可能な経営を目指す「環境経営」を理念に掲げ、リサイクル事業からも利益を生める体制にする。

 NECアクセステクニカのレンタルモデム事業が、環境と経営を両立させた一例だ。ISPなどにモデムを買い取ってもらう売り切り販売に加え、2002年からレンタル制を導入。レンタルから戻ってきたモデムをリサイクルして再レンタルし始めた。

 製品設計段階からリサイクルを想定し、モデム本体をネジ1本で解体できる構造にして解体時の手間やコストを削減。これまでリサイクルできなかったプラスチックケースもリサイクル可能にした。

 ADSLモデムは価格低下が進み、売り切りだけでは採算がとりにくくなっていたが、リサイクルの本格化で安定して黒字を出せるようになったという。

 PCリサイクル事業も昨年度から黒字化した。これまで累計で2万台のリサイクルPCを出荷したが「販売店からのニーズは大きく、数が足りない」(同社CSR推進本部の斎田正之環境推進本部長)。中古PCを求めるユーザーは、目的の品が見つかるまで販売店に何度も足を運んでくれる“優良顧客”。環境への意識の高まりもあり、ニーズはさらに高まりそうだ。

CO2や有害物質、地道に削減へ

 同社の2004年度の二酸化炭素排出量は前年比1.4万トン減の133万トン。今後も削減を続け、2010年には125万トンまで減らす。

 環境負荷の低い部品・材料を製造する企業とだけ取引する「グリーン調達」の割合は97%を占めている。これを2005年度には100%に高め、EUのRoHS指令(鉛、水銀など有害物質の使用制限)に対応できるようにする。

 同社が独自に定めた環境基準を満たす「エコシンボル」付き商品は2004年度、全ハードの83%に増え、合計売り上げは1兆円を突破した。2007年度には全商品をエコンシンボル対応にする計画だ。

 同社が環境アニュアルレポートを発行するのは今年で9回目。今回からは紙での発行をやめ、Webだけに絞った。同社はこのほか、給与明細のWeb化や、eラーニングによる社員への環境教育など、地道な環境対策を進めている。

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