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これもクールビズ、「空調服」が世界進出(1/2 ページ)

» 2005年06月16日 17時10分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 見た目はアレゲだが、着てみると涼しくてやみつきになるファン付き長袖作業着「空調服」の本格販売が始まった。今年の新作はデザインを一新。サイズもSから5Lまで7種類そろえて老若男女にフル対応した。販売目標は年間の10万着と、昨年の10倍以上。7億円の売り上げを見込む。

 来年の生産拡大に向けての準備も万端だ。建設中の中国工場は9月に完成。どんな服でも空調服化できるという「内装式」や、レインコート型、スーツ型なども試作中で、バリエーションは今後さらに増えそうだ。

photo 梅雨にもぴったり、空調服。市ヶ谷社長オリジナルモデル

 空調服は、密閉性の高い長袖服の腰あたりに2基のファンを搭載した作業着。服の中に風を送って汗を気化し、気化熱で体を冷やす仕組みで、お風呂上がりの濡れた体に扇風機が心地よいのと同じ原理だ。服が体に張り付かないし、汗がすぐに蒸発するため不快感や汗くささもない(関連記事参照)

photo 空調服、ブルゾン型の「P-500B」
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photo 中には2基のファンが。単3乾電池×4で駆動する。右の白い箱が電池ボックス

 暑苦しい見た目とは裏腹に、実際に着てみると驚くほど涼しい(関連記事参照)。風量は2段階に調節可能。寒くなればスイッチオフすればよく、クーラーと違って1人1人温度調節できるのもいい。単三形乾電池4本で約5時間使用でき、クーラーよりもずっと省エネだという。

今年の空調服はここがすごい

 空調服を開発した市ヶ谷弘司社長は、ソニー出身の技術者。自ら起業した会社・ピーシーツーピーでブラウン管関連製品を製造・販売するかたわら、温暖化問題やエネルギー問題を解決できる、“涼しい服”の研究を5年間続けてきた(関連記事参照)

 試行錯誤の末、昨年初めて試作品を発売(関連記事参照)。約7000着、8000万円(オプション電池含む)を売り上げた。

 今年2月に社名を「空調服」に変更(関連記事参照)。4月からは製品版の販売を始めた。

 製品版では、服地を中国メーカー製から日本メーカー製(中国産)に変更して強度やデザインを改良。Tシャツ型は廃止し、作業着・ブルゾン型に絞った。

 首もとや袖口が少しあく構造にして空気の通りをよくしたり、ファンの取り外しを簡単にするなど、細かい改良も加えている。

 従来からのポリエステル製に加え、熱源があって化学繊維服が着られない工場向けに、綿製も開発した。ラインアップは以下の通り。色はそれぞれ3種類から選べる。

タイプ 素材 型番 楽天市場の価格(税込み)
長袖作業着 ポリエステル100% P-500N 1万2600円
半袖作業着 ポリエステル100% P-500H 1万2600円
長袖作業着 綿100% M-500U 1万2600円
長袖作業着 綿100%、2枚重ね M-500A 1万4700円
長袖ブルゾン ポリエステル100% P-500B 1万2600円
photo ブルゾン型はブルー、ホワイト、サックス(グレー)の3色をラインアップ
photo 長袖作業着「P-500N」

空調服はまだまだ進化する

 4月から受注を始め、すでに約2000着、約3500万円を売り上げた。内訳は、個人が1000人、工場を持つ企業が300社ほど。サイズを7種類に増やし、色や形も改善したため、Mサイズ・グレーの作業着しかなかった昨年と比べ、試用後の追加受注率が飛躍的に高まったという。

 しかし「まだ全体のニーズの3分の1くらいにしか応えられていない」と市ヶ谷社長は話す。工場では、すでに決まったデザインの制服を導入していることが多く、デザインが異なる空調服は導入できないためだ。

 この問題を解決するため、どんなデザインの服でも空調服化できる「内装式」を試作した。ベスト状の小型空調服を普段着ている服に重ね、ファンの部分を切り取るだけ。市ヶ谷社長は、この「内装式」が空調服を爆発的に普及させる鍵になりうると期待する。

photo 内装式空調服

 「内装式を改良していけば、どんな服にでも違和感なく合わせられる空調服が完成するだろう。オシャレな女子高生も空調服を着る時代が近いうちにきてほしい」(市ヶ谷社長)

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