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AMDは勝てるか、対インテル訴訟でAMD幹部が激白

» 2005年09月14日 22時14分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 「自由でオープンな市場が必要と思い提訴した」――。

 PCメーカーに圧力をかけてビジネスを妨害したとしてAMDがインテルを訴えた訴訟について、米AMDの法務担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高総務責任者 トマス・M・マッコイ(Thomas M. McCoy)氏は9月14日、インテルを提訴した理由を説明した(関連記事)

マッコイ氏 米AMDの法務担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高総務責任者 トマス・M・マッコイ氏

 マッコイ氏はインテルを提訴したタイミングについて「AMDがプロセッサで成功したからだ」と説明した。AMDの業績が低迷しているときでは、ビジネスの失敗をインテルに転嫁しているように外部に思われる。しかし、AMDのビジネスが比較的好調に推移しているときであれば、そのような推測は成り立たないとの考えだ。

 「AMDは何も裁判所の力を借りて技術を培う必要はない。32ビットから64ビットへと移行していく中で、裁判所の力は必要としない。AMDが求めるのは自由でオープンな市場。ITの健全なコミュニティ、R&Dの力、イノベートできる力、差別化できる力、そして消費者に対して選択の余地を与えられる力が必要だ」

 AMDによるとインテル日本法人は、AMDのプロセッサを採用しないようPCベンダーに対して圧力をかけたという。「インテルは協力しないメーカーに対しては懲罰的なプロセッサの価格を設定するという“アレンジ”をした」(マッコイ氏)。

 インテルがPCメーカーに圧力をかけざるを得なかったのはAMDのシェアが急速に高まったからだとマッコイ氏は見ている。AMDによると国内のPC出荷台数に占めるAMDのシェアは2002年には最大26%まで高まった。「AMDの成功はインテルにとって脅威だったと思う。インテルはこのころにメーカーに対して“特別のアレンジ”をしてAMDのビジネスを阻害した」(同氏)。AMDのシェアは2004年第4四半期には10%程度まで低下した。

 米インテルは9月1日に公表した米国での独占禁止法訴訟の答弁書で、AMDの提訴について「AMDは、より低い価格を提供するインテルの能力を阻害することによって、AMDがより高い価格を請求できるようにしようとしている。AMDが自らの身を価格競争から守ろうとする目的は明らか」と指摘。米インテルの副社長兼法務担当役員 ブルース・スウェル(Bruce Sewell)氏も、同日発表したコメントで「(AMDは)実際に直面してきた数々の事業の失敗の責任をインテルに求めるという選択をした」としている。

 マッコイ氏はインテルの主張に対して「AMDはx86プロセッサで25年にわたるリーダー」としたうえで、「インテル側の話はまったく真実ではない。インテルは、消費者、市場に自由選択させるという業界の動きを妨げている」と批判した。さらに、インテルの圧力がなければAMDの国内シェアは「40〜60%の間で推移していたと思う。世界中を見ると、健全な市場ではAMDは40%のシェアを確保している」と語った。

 AMDとインテルの訴訟の今後は自らに有利な証拠や証言を集められるかにかかっている。AMD側には、公正取引委員会がインテルに行った排除勧告という強力な武器があるが、第1回口頭弁論では、排除勧告にとらわれず、不法行為があったかどうかを1から争うと両者で確認した(関連記事)

 マッコイ氏は「AMD、インテルとも裁判所に対して証拠を提出する責任があるが、率直にいって証拠はインテル側にある。裁判所は、公取委が見た証拠と同じ証拠を基に判断を下してくだされればと思う」と述べた。

 マッコイ氏はPCメーカーを証人とすることは明言せず、「証拠がなければAMDは提訴しなかった。われわれは業界のサポートを受けている。裁判所は公取委の決定をサポートし、結果的にAMDに有利な決定になると信じている」と述べるにとどめた。

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