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オタク・ユビキタス

» 2005年10月11日 23時59分 公開
[小林伸也 岡田有花,ITmedia]

 先週のアクセストップは、野村総合研究所(NRI)の新たなオタク理論に関する記事だった。NRIは、オタクはいわゆる「アキバ系」に限らず、すべての趣味分野に存在するとし、旅行やファッション好きも度を越せばオタクに分類されるとしている。

 「旅行好きがオタクに分類されるのは理解できない。これでは私もオタクになってしまう」――新理論の説明会で、一般紙の記者からはこんな趣旨の質問が何度も出た。「電車男」や「萌え」の流行などでオタク=アキバ系と認知され、ステレオタイプが構築された今、アキバ系ではない自分がオタクに分類されるのは納得いかない――彼らの質問からはそんな抵抗感が垣間見える。

 健康オタク、グルメオタク、映画オタク、スポーツオタク……新理論では、この世で趣味と呼べるすべてのものにオタクが存在する。NRIの守岡太郎副主任コンサルタントは「オタクは世界中にいると考えていい」とし、趣味に余暇とお金のほとんどすべてをつぎ込む態度は、衣食住の足りた豊かな国ならどこでもありうると話す。

 「ぼくはOtakuになりたい」――以前米国で出会った、日本のアニメ好きだという米国人大学生は真剣にこう話していた。WikipediaによるとOtakuは、日本語ではネガティブな言葉だが、英語ではしばしば、ポジティブな意味で使われるという。

 そんな一方、萌え銘柄の一角だったブロッコリーが中間期で債務超過に転落。多額の特損計上の原因となった在庫評価の厳格化は、大手監査法人の不祥事のあおりを食ったため、という報道もある。だが粗利率の高いトレーディングカードの販売が落ち込み、利益率が悪化──という原因もあったのは見逃せない。同社トレカの新シリーズをめぐり、ファンからは不満の声も聞こえてくる。

 今週もランキングの多くを占めた「のまタコ」問題。“2次創作”では先達と言うべき同人さんたちの認識をまとめると、「そこには愛がなく、リスペクトもなかった」ということになる。

 高度消費社会であれば、そこにはオタクがいる。消費発達の影にはオタクがいる、のかもしれない。そして“売らんかな”の精神に絡め取られるほどたやすい相手ではないようだ。

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