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「トンネル抜けた」――ソフトバンク中間期、5年ぶり営業黒字

» 2005年11月10日 16時45分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「トンネルは必ず抜けると分かっていたが、抜けてみると嬉しい」――中間期として5年ぶりの営業黒字を達成したソフトバンクの孫正義社長は11月10日、晴れ晴れとした表情でこう話した。「利益は一過性ではなく、今後着実に拡大できる」とし、FTTHや携帯電話など新事業も初期投資を抑えながら進めていく方針を明らかにした。

photo 「これまで潜水泳法だったが、ここから先は息をしながら泳いでいける」と孫社長

 同社の2005年9月中間期連結決算は、営業損益が44億円の利益(前年同期は67億9000万円の損失)。中間期としては2000年9月期以来営業黒字化を果たした。売上高は5227億8700万円(前年同期比72.1%増)、経常損益は134億8300万円の損失(前年同期は259億800万円の損失)、純損益は41億8200万円の損失(同60億4500万円の損失)。

 ADSL事業の課金者数とARPUの増加やヤフーの広告売り上げが好調で増収。営業損益は、顧客獲得コストの削減などでブロードバンド・インフラ事業の損失幅を約334億円縮小し、10億1000万円の損失にとどめた。

 ADSL事業は今第1四半期から黒字化し、黒字幅は4半期ごとに拡大。「ADSLは完全に収穫期」と孫社長は自信を深めている。ただFTTHサービスは「今はもうからない」とし、現段階では顧客獲得などにコストをかけない方針を示した。

 日本テレコムの「おとくライン」事業は262億9900万円の営業損失だったが、先行投資の山は超えたとし「この先急激に改善する」と話した。

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 ブロードバンドタワー株式など有価証券売却益522億円を計上したことに触れ、「投資が回収期に来ている」とも強調。ただし有利子負債の増加で支払利息が約36億円増の約138億円となった上、「おとくライン」営業体制の変更で損失を計上するなどし、経常損益、純損益は赤字となった。

 同日、株式分割の実施を発表した。2006年1月4日の株主に対し、1株を3株に分割する。同日の同社株価終値は前日比50円高(+0.70%)の7120円。

「ビジネスチャンスはあふれるほどある」

 今後は、ブロードバンドインフラの回線数を拡大し、携帯電話など別インフラにも参入しつつ、動画や音楽、オンラインゲームなどコンテンツ事業も推進。インフラからコンテンツまでワンストップで提供できる体制を築く。「インフラ、プラットフォーム、コンテンツをすべて持っているのは世界でわれわれぐらい。ビジネスチャンスはあふれるほどある」

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 11月9日に参入が認可された携帯電話事業は、慎重に進める構え。「いきなりシェアを取れるとは考えていない。大幅な赤字を出すことなく、無理せず着実に積み上げたい」

 アジアを中心とした海外進出も進めていく。孫社長は、同社が約30%出資している中国のEC企業Alibaba.comや、Alibaba傘下のTao Bao Holdingsの好調ぶりをアピール。中国ビジネスを強化していきたいとした。

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