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曲がる二次電池で“腕巻きケータイ”を――NECの技術とアイデア

» 2005年12月09日 19時27分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 NECの新技術やサービスを紹介するイベント「iEXPO2005」(12月9日まで、東京ビッグサイト)で、同社が7日に発表した曲げられる超薄型二次電池を展示している。同社は同電池の特徴――曲がって高速充電――を生かせる機器を模索中で、アクティブ型RFIDタグやウェアラブルPC、曲がる携帯電話などが候補に挙がっている。

photo 折り曲げない限り正常に作動するといい、巻いてもOK。LEDは、電池の電力で発光している

 新電池は厚さ0.3ミリの超薄型。高速充電が可能な「有機ラジカル電池」で、内部がゲル状なため自由に曲げられる。

 エネルギー密度は1平方センチ当たり約1ミリワット時。30秒でフル充電でき、小型LEDを20〜30分連続点灯させられる。アクティブ型RFIDタグに使った場合、1回の充電で数万回の信号発信が可能。説明員によると、容量は携帯電話の電池の100分の1程度という。

photo カードに組み込んだ例
photo PCにUSB接続した充電機で充電できる

 今後の課題は高容量化と、新電池の特徴を生かせるアプリケーションの発掘。充電は高速だがエネルギー密度は低いという特徴をどう生かすか、iEXPO来場者から意見を聞いている。

photo 携帯電話のデザインモックアップ「tag」

 「曲がる電池の登場を待っていた」――電池とは別ブースで展示中のデザインモックアップ「tag」の説明員は話す。tagは曲がる携帯電話で、腕に巻きつけたりベルトに吊るすことを想定している。発案した3〜4年前、フレキシブル基板や液晶の開発のめどは立っていたが、電池だけが曲がらなかったといい、実用化に一歩近づいたと説明員は期待する。

携帯電話を翻訳機に

 携帯電話用プロセッサで音声を日英・英日翻訳するシステムも展示している。ユーザーが話した文章を認識し、日本語なら英語に、英語なら日本語に翻訳し画面に表示する(関連記事参照)

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 音声認識から翻訳まで約1秒。NECエレクトロニクスの携帯電話向けマルチコアプロセッサ「MP211」を使い、音声認識のプロセスを3段階に分けて並列処理することで高速化した。

 日本語5万語、英語3万語を収録。旅行会話に必要な基本的なボキャブラリーはほぼ網羅したとしている。実用化に向けての最大の課題は、ニーズの把握とコストという。

顔タイムカード

 これなら代返不可能――「NeoFace 朝顔」は、顔認証技術を使った出退勤管理システム。出社したら、専用カメラに顔を向けるだけで認証終了。出社時の顔写真は自動保存する。万一認識に失敗しても、写真を証拠として残しておけ、他人の代わりにタイムカードを押す“代返”も不可能だ(関連記事参照)

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 認識精度は約99%で、指紋や光彩認証などと比べるとどうしても劣る。顔写真が残せることをメリットとしてどうアピールするかが課題だ。

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