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違法ストリーミング配信を初摘発 「ドラえもん」など公開の男逮捕

» 2006年07月04日 19時29分 公開
[ITmedia]

 コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によると、福岡県警は7月4日、「ドラえもん」などの動画コンテンツを権利者に無断でストリーミング配信していたとして、著作権法違反(複製権・公衆送信権の侵害)の疑いで岐阜県各務原市の自営業の男(41)を逮捕した。

 ACCSによると、映像のストリーミング配信による著作権侵害が摘発されたのは初めて。

photo 違法配信していたサイト(閉鎖)の様子
photo 違法配信されていた作品

 調べでは、男は2004年11月25日ごろから昨年8月3日ごろまでの間、権利者に無断で「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝」「機動戦士ガンダムI」「半落ち」など5作品を、事務所に設置したサーバに無断で複製。運営していたWebサイトを通じて募った会員に対して自動的に送信できる状態にし、シンエイ動画やサンライズらの著作権を侵害した疑い。

 男は昨年6月ごろにWebサイト「Streaming Station」を開設。レンタル店で借りたDVDをコピーし、759タイトル分を会員に配信していた。月額980円の定額で見放題になり、多い時で70人の会員が登録し、これまでに40万円ほどの売り上げがあったという。

 ACCSと日本動画協会(AJA)は昨年12月にサイトを確認し、2月にはそれぞれ著作権侵害をやめるよう警告した。男は謝罪し、会員募集ページを削除するなどしたが、違法配信は続けていたという。

 2月末に、福岡県警が同サイトの会員から「違法サイトでは」との相談を受けて捜査を始め、ACCSとAJAが協力。5月末には家宅捜索でPCやDVD、サイトの宣伝ちらしなどを押収していた。

 ACCSとAJAは「コンテンツのネット配信が成長しつつある中、ストリーミング配信による著作権侵害の初摘発は意味がある」と評価。自ら運営するサーバで大量のタイトルを違法にストリーミング配信していたのは初めてでは、としており、AJAの青野史郎・著作権委員長は「最初に起きたということを重く見た」と話している。

 一方、YouTubeなどの動画共有サイトにコンテンツが不正アップロードされているケースが表面化し、日本のテレビ局などが削除を要請するケースも増えてきている(関連記事参照)。だが、「YouTubeに削除要請しても、次から次へとアップロードされれば意味がない」(ACCSの久保田裕専務理事)と“いたちごっこ”に陥りがちだ。

 サイバーエージェントなど、日本でも動画共有サイトに参入する動きが相次いでいる。久保田専務理事は「ACCSとしては、運営者と組んで違法アップロードに対する注意をユーザーに喚起していきたい」という考え。事業者と具体的に話し合う予定もあるという。

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