米Microsoftのビル・ゲイツ会長が常勤職から非常勤職に移行するという決定は、スティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)に新たな時代と仕事をもたらすことになる。
「ビルが引退を発表した際、ビルとわたしの長年にわたる特有の関係を考えると、わたしに新しい時代と職務が与えられたような気がした」と、バルマー氏は7月27日に米ワシントン州レドモンドにあるMicrosoft本社キャンパスで開催された金融アナリスト向け年次説明会で語った。「これまでわたしは、この会社で技術革新の第一線に立つ必要はなかった。この役目はいつもビルが担っていたからだ。しかしこれからの2年間で、わたしがMicrosoftにおけるイノベーションの第一人者にならなければならない」
ソフトウェアをサービスと位置づけるというMicrosoftが長年掲げている目標に関して、バルマー氏は実行されつつあるとし、将来的には同社の事業の重要な一端として、すべての製品にわたって広告ベースとサブスクリプションベースのビジネスモデルと、インターネットベースの配信を推進していくと述べた。
さらに同氏は、Microsoftは「マルチコアプロセッサ」のような会社であり、現行コアであるデスクトップおよびサーバソフトウェア事業に、エンターテインメントやインターネットサービスなどの新しい「コア」を追加することを検討していると説明した。
この1年はMicrosoftにとっての初体験が多かった――今回、ゲイツ氏が出席しない初めての金融アナリスト向け年次説明会となった。ゲイツ氏は今ごろ「アフリカのどこかでかねてから計画していた休暇を楽しんでいることだろう」(バルマー氏)。
またこの説明会も、ゲイツ氏の引退発表後、初めてバルマー氏が金融アナリストコミュニティーに向けて行ったものだ。これは、Microsoftにおける変革と革新の時、そして新時代を意味し、同社は今後さらにエキサイティングになり、株主にさらなる価値を生み出すだろうとバルマー氏は語った。
2007年初めに出荷予定のWindows VistaとOffice 2007をバルマー氏は「ブロックバスター(超大作)リリース」と呼んでおり、これらは市場においてMicrosoftを際立たせ、アドオン製品への関心を引き付ける。
金融アナリストミーティングでバルマー氏の次に壇上に立ったのは、プラットフォーム&サービス部門担当のケビン・ジョンソン氏だ。ジム・オールチン氏とともに共同社長を務める同氏は、Windows Vistaのリリースに関して、あくまでも準備が整ったうえで出荷すると明言した。
「当チームは現在、次なるマイルストーンであるリリース候補第1版(RC1)に向けて取り組んでおり、この四半期中にリリースを予定している。現時点では、計画されている来年1月に出荷されないという徴候はない」(同氏)
「Windows Vistaにはすべてのユーザーに役立つ機能があり、わたしたちはこのメッセージを家庭に向けて発信している。しかしこれと同時に、プレミアム版の製品がもたらす付加価値についても明確にしていかなければならない」ともジョンソン氏は述べた。
ジョンソン氏率いるプラットフォーム&サービス部門は顧客第一を主眼に置き、エンドユーザー向けの魅力ある、そしてサードパーティーが技術革新を実現できる環境作りに取り組みながら、ターゲット顧客に明確なビジネス価値をもたらす努力を重ねている。
リーダーシップとしての最優先事項は、アジャイルなイノベーション、オンラインサービス、実行、成長などのほか、スタッフにより大きな権限を与え、同社の原動力となる有能な人材を引き付けることだ、と同氏は語った。
Microsoftでは来年のPC出荷台数を2億2500万台と予測、PC総出荷台数の成長率は8%または9%に落ち込むと見込んでいるが、ジョンソン氏によれば、新興市場のPC出荷台数はこの2倍の速さで伸びているという。
最近WindowsおよびWindows Liveグループの責任者に任命されたスティーブ・シノフスキーは、Windowsのプランニングと開発プロセスを再編した、とジョンソン氏は説明した。
メンテナンスプログラム「Software Assurance」の更新率がここ数年で最高のレベルに達しており、Windows Vistaリリースに先立ち多くの新ユーザーが加入しているという。
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