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» 2006年09月08日 14時01分 UPDATE

MSの「動詞活用システム特許」出願に批判の声

Microsoftが出願した特許は、動詞の活用形を学ぶためのシステムに関するもの。この出願に関して、特許監視団体が反対の声を上げている。

[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftが米特許商標庁に、動詞を選択・活用するシステムの特許を出願した。

 同社は8月31日に、コンピュータベースの動詞活用システムの特許を出願した。同社は、人々が新しい言語を習得するのを複雑なソフトウェアアルゴリズムを使って支援できると考えており、同社の技術は今出回っているソフトウェアツールをさらに超えるだろうと語っている。

 出願された手法には、基本言語の動詞を受け取ること、その動詞を基本言語から目標言語に翻訳し、それを使って目標言語における動詞の活用形を特定すること、特定された活用形を目標言語で表示することが含まれる。

 Microsoftの出願書類はここで閲覧できる。

 Microsoftの知財・ライセンス担当ジェネラルマネジャー、デビッド・キーファー氏は、同社がこの特許を出願したことは認めたが、この技術が採用されている可能性のある製品や、今後この技術が搭載されるかもしれない製品を挙げることは避けた。

 同氏は次のように語った。「高校のフランス語の授業で苦労したすべての人にとって、動詞の活用が難しいことは分かっている。複雑なソフトウェアアルゴリズムが文法の間違いを見つけたり、スペルミスを訂正する手助けができるのと同じように、ソフトは新しい言語の習得にも役に立つ。われわれはそのための方法を構築しているところだ」

 企業各社は以前から、スペルや文法のミスを特定するソフトウェアの特許を取得しようとしてきたと同氏はeWEEKに語った。

 「複数言語の文書を書いている人が、そうした文書をうまく書く手助けをしてくれるシンプルな技術を必要としていることは想像できるだろう。多くの場合と同じように、この課題には多くの対処方法がある。当社の特許出願は、複雑なソフトの課題を解決する方法の1つを特定するものだ」(同氏)

 しかし、Microsoftの行動は批判を呼んでいる。特許監視団体Public Patent Foundation(PUBPAT)のエグゼクティブディレクター、ダン・ラビチャー氏は、これは特許システムが「いかに制御不能になっているか」を示す新たな例だと指摘する。

 「米国の特許重視の裁判所や議員は、動詞の活用など、文字通り何にでも特許の資格を拡大してきただけでなく、コンピュータを使って既知のことをやれば、それを新しいもの――つまり特許を取れるもの――にできると主張してきた」と同氏はeWEEKに語った。

 出願書類は、言語学習者が動詞活用を学ぶ手助けをするソフトウェアツールがインターネットに出回っていることを認めているが、「それらのツールにはさまざまな限界がある。例えば、ユーザーがある動詞の不定形あるいは活用形のスペルを間違った場合、こうしたソフトはエラーを報告する。これは言語を学ぼうとしている時に単純なスペルミスをしてしまった人にとって非常にいら立たしい。ユーザーがその動詞の正しいスペルを学ぶじゃまになる」と主張している。

 Microsoftの出願でカバーされる技術とその関連技術は、それにとどまらない範囲に及ぶだろう。「動詞活用システムの具体的な実施例が示されているものの、この発明はその精神と目的から逸脱しない範囲でさまざまな修正がなされるかもしれない」と出願書類には記されている。

 Microsoftの動詞活用システムでは、ユーザーはある動詞活用形の説明を入力することで活用形を検索したり、活用形のリストから選択できるかもしれないとこの書類にはある。

 説明による検索をサポートするため、動詞検索テーブルの各エントリに「説明と不定形」が含まれるよう修正が加えられるかもしれない。この動詞活用システムはユーザーが選んだ基本言語か目標言語を利用する可能性がある。「従って、この発明は付記のクレームによる制限を除いては制限を受けない」という。

 PUBPATのラビチャー氏は、この特許出願は「Microsoftが現行の特許法を己の利益のために利用していることを示しているにすぎない。それはそれで、同社がこの法律の愚かしさに完全なあるいは主たる責任を負っているわけではない。願わくは、いつか将来、特許法がすべての米国民への影響を考慮して、妥当性と公正さの要素を取り入れてくれると良いのだが」と語る。

 PUBPATがこの特許の認可を阻止する動きに出るのかという質問に対し、同氏は「われわれは通常、現在進行中の可能性がある作業についてはコメントしない」と答えた。同団体は、公共の利益を代表し、誤って認可された特許や不健全な特許政策による害を防ぐことを目的とする非営利団体。

 Microsoftは特許を革新と同一のものと見なしてきた。同社のビル・ゲイツ会長は2004年7月に、それまでよりも劇的に多い3000件を超える特許を出願して、革新的な活動において世界でトップクラスの企業になると宣言した。

 このような発言は、同社がLinux企業などの競合に対して行使する特許を蓄積しているのではないかという憶測を呼んだ。

 MicrosoftがFile Allocation Table(FAT)などの技術をカバーする特許を保有していることで、こうした懸念は強くなっている。FATは、一部オープンソースソフトでLinux/UNIXマシンとWindowsマシンの間でのデータ交換を容易にするために使われている。

 オープンソースコミュニティーには、コロンビア大学の法学教授でFree Software Foundation(FSF)の法務顧問、そしてPUBPATの理事でもあるエベン・モグレン氏など、「Microsoftがこの先、Linuxがこれらの特許を侵害していると主張して特許使用料を要求するかもしれない」と懸念を示してきた人々もいる。

 そうなれば、Linuxのまさに中核が脅かされることになるとモグレン氏は主張してきた。同OSはGNU GPLライセンスの下で提供されており、使用料の支払いが必要な特許技術を含んでいる場合には配布できない。

原文へのリンク

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