ニュース
» 2006年09月28日 22時17分 UPDATE

「リングに上がる前のボクサーの心境」──孫社長“最大”の発表会

「13・54」──“業界最大”という新ラインアップと「世界一使いやすい」という新サービスの発表会に臨んだ孫社長。スタートまで1カ月を切ったMNPを前に「リングに上がる前のボクサーの心境だ」と話す。

[ITmedia]

 「戦いのリングに上がる前のボクサーの心境だ。充実している」──秋・冬商戦向け携帯電話の新端末とサービスを一斉に発表したソフトバンクの孫正義社長は9月28日、都内で発表会に臨んだ。「3番手でスタートしているので、『かっこよさで一番』『使いやすさで一番』……と差別化していかなければならない」という孫社長が発表した新端末の数は“業界最大”。ヤフーと組んで展開する新ネットサービスもそろえ、開始まで1カ月を切った番号ポータビリティ(MNP)というリングに上がる。

photo 毎日使っているというSLIMIAを掲げる孫社長。8月には機種別シェアで単独1位となり、「ボーダフォン初の快挙」と喜ぶ

「13・54」+「2・10」

 「『13・54』。この数字が分かる人はいますか?」。孫社長がこう発表会場で披露した数字は、新製品の機種数(13機種)とカラーバリエーションの合計(54色)。同社によると、1度の発表会でリリースした機種・カラーバリエーション数の最多記録は、NTTドコモが11機種35色、auが12機種37色。「業界最大の品ぞろえの発表会だ」──孫社長は胸を張った。

photo ボーダフォンの最大は「7・18」だった

 数を誇ってみせたのは、ボーダフォンにつきまとってきた「端末ラインアップが少ないというイメージを払拭するため」だ。孫社長が掲げた「4つのコミットメント」では、「端末においても優れているキャリア」になることを約束。新製品の一斉発表は、「問題点を一気に改善する」という約束の実行の1つだ。

 豊富なラインアップ数に加え、J-フォン以来の参入となるパナソニック端末「705P」や、500万画素・3倍ズームレンズを搭載したハイエンド「910SH」、1Gメモリ内蔵の「910T」──と各端末は売り文句も充実。「705P」と「705N」、「706SC」「705SC」は「日本で一番売れて一番薄い」という「SLIMIA」(705SH)をさらに下回るスリム端末で、孫社長は「薄い=ソフトバンクというポジションにしたい」と話す。

photo 「薄型はソフトバンク」

 さらに「これで終わろうと思っていたが、隠し玉で……」と孫社長が明かしたのは、今後発表を予定している「2機種10色」の存在。詳細は「こうご期待」としてまったく明かされなかった。5月には、同社が米Apple Computerと「iPod携帯」の共同開発で合意したという一部報道があった(関連記事参照)

 同社はSLIMIAと「iPod nano」をセットにしたパッケージも販売している。孫社長は「電話する時は音楽を聴かないし、音楽を聴くときは電話をしない。両方を搭載し、わざわざ分厚くするのは意味がないのでは。胸ポケットに通勤時はiPod、会社ではSLIMIAという使い方がいいのではないか」と話した。

コンテンツ

 4つのコミットメントのうちの1つ「コンテンツ強化」では、10月1日から始まる新ポータル「Yahoo!ケータイ」が目玉だ。

 新端末では、専用の「Y!」ボタンを押すだけでトップページに接続。従来の公式サイトに加え、Yahoo!JAPANのオークションやショッピング、ニュースなどのコンテンツにアクセス可能だ。「アクセスの手順からデザインワークまで私自身がこだわり抜いた。世界でもっとも使いやすいものができたと自負している」

photophoto

 PC用サイトのYahoo!JAPANと同様、各種コンテンツは基本的に無料で利用できるのが特徴。Yahoo!JAPAN IDはPCと共用でき、1度入力すれば以降の利用時には入力が不要になるという。「既存サービスよりコンテンツが豊富で、しかも無料。従来のコンテンツビジネスモデルは根底から覆されるだろう」と自信をみせる。

 メールやメッセンジャーなどを統合した新コミュニケーションツール「Yahoo!mocoa」やフルブラウザなどもそろえた。孫社長は「われわれの社名はソフトバンク。25年ソフトにこだわり続け、ソフトでかなうものはない。『携帯にこんなに便利で楽しい使い方があったんだ』と、われわれが一気に変えていきたい」と意気込んだ。

photophoto

MNP

 MNPのスタートは10月24日。スタート後の見通しは「全員初体験だから分からない」という。事前予約は「1〜2万人程度」入っているというが、「ユーザーも販売店もまだ様子見のようだ」と見ている。

 9月1日には、割賦方式を導入した「スーパーボーナス」を全国で開始した。同端末を長期間使うと割安になるのが特徴だ。

 孫社長は「いい端末なら何度でも乗り換えるという人が多く潜在していることが分かった。これは携帯事業者から見ると大変な問題」と指摘。「ワンセグケータイなどを購入してすぐ解約して手に入れる人がいる一方、長く使ってる人にコストのしわ寄せが来ている。こうした、ある種間違ったビジネスモデルは是正しなければならないし、MNPによるビジネスモデル崩壊の対策でもある」とスーパーボーナスの狙いを説明した。

株価は3回下がった

 孫社長は、携帯事業の証券化による短期融資の借り換え策を明らかにした(関連記事参照)。同事業買収による財務体質の悪化が指摘され、あるアナリストが同社の目標株価を900円とするリポートを発表すると波紋が広がった。

 孫社長によると、ソフトバンクの株式公開以降、株価は3回下がった。最初はYahoo!などのネット企業に投資した90年代半ばで、「なぜ金を生まない会社に投資するのか、とどん底になった」。次はYahoo!BBを始めた2001年以降。「年間1000億円の赤字を出し、アナリストからめちゃめちゃに書かれた」。そして携帯事業に参入した今年。孫社長は「共通しているのは、大きな事業に取り組む節目。1〜2年すれば順調に進み、安心感が広がる」という。「逆に投資家からすると、そういうのを読んで投資するのは悪くないのでは」

 証券化は債務の安定化に貢献する一方、収益を返済に充てることもあり、料金値下げなどの思い切った策は財務面からは打ちにくくなるが、孫社長は「これからは『大人のソフトバンク』」だという。発表会後、報道陣からMNPに向けた自信を問われ、「頑張りますよ」と答えていた。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -