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» 2006年09月29日 16時20分 UPDATE

YouTubeで政見放送する「日本メガネ党」とは

「構造改革の次はメガネ改革」「メガネを含めて、この国が好きです」――“日本メガネ党”なる組織の政見放送が、YouTubeで公開されている。その正体とは。

[岡田有花,ITmedia]

 自民党総裁選が安倍晋三氏の圧勝に終わり、新内閣に注目が集まる裏で、じわりと支持者を増やしている党がある。その名も「日本メガネ党」。メガネへの愛とこだわりを訴える組織だ。

 日本メガネ党の政見放送は、動画共有サイトのYouTubeで見られる。「構造改革の次はメガネ改革」「メガネを含めて、この国が好きです」――メガネの漫才コンビ・おぎやはぎさんが、メガネへの愛をひたすら熱く語る。

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 実はこれ、アイ・トピア(東京都町田市)が運営するメガネ店・メガネストアーのプロモーション企画。有名タレントを起用したプロモーション映像を、企業が自らYouTubeに流したのは、これがおそらく日本初だ。

 「映像をYouTubeで公開することには、賛否両論ありました」――同社販促企画部の本多宏哉次長は言う。YouTubeは著作権を侵害した映像も多く掲載され、権利者を悩ませているサービス。そんな場所でプロモーションできない、という意見も多かった。だが本多さんは、YouTubeの圧倒的なユーザー数がプロモーション効果を高めると考え、関係者を説得した。

 政見放送にはメガネストアーの名も出てこない。ただメガネへの愛を面白おかしく語っている。広告らしくない内容が、全国の“メガネ党員”に支持されているようだ。

YouTube用にあえて“劣化”

 第1回の「ご挨拶」に始まり、「しなやかな政治」「マニフェスト」「国民に仕える身」「国民との対話」と5回分公開。それぞれ3分程度で、日本メガネ党Webサイトで公開している。第4回まではYouTubeにも上がっており、1回あたり1万回近く視聴されている。

 実は、同社が自らYouTubeに掲載したのは「ティザー編」と呼ぶ1分弱の予告コンテンツだけ。本編もユーザーの手によりYouTubeに転載されてしまったが、もともとの狙いは、ティザー編でネットユーザーの興味を喚起し、メガネ党のサイトに来てもらう――というものだった。

 ティザー編は、YouTubeによくある素人動画のような雰囲気を出そうと、映像を一度VHSに落とし、劣化させてから掲載した。7月下旬の掲載から2カ月で、視聴数は3万以上。掲載開始以来、同社サイトへの訪問者数は3倍に跳ね上がったという。「ここまで注目してもらえるとは思わなかった」――本多さんは予想以上の反響に驚く。

メガネ党員、10万人に迫る

 同時期に公開した日本メガネ党のWebサイトも、政見放送同様、企業色を感じさせない。メガネストアーの名は、ページの隅などに小さく書いてあるだけで、9割以上はメガネへの愛を語るコンテンツで埋め尽くされている。

 サイトには、メガネ党の党是や機構図、党歌の歌詞などを掲載した。党是は「メガネは、偉大だ。メガネをかけた瞬間、人は皆、『メガネの人』になる」などといった内容で、機構図は「くもり防止局」「メガネロック認定評議会」などさまざまな部署を紹介。党歌はメガネへの愛を歌い上げる。

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 メガネ関連のクイズ「入党試験」も掲載した。受験すると、AからDまで4段階の“メガネランク”が表示され、ブログに張れる「党員証」のソースコードが表示される。これまで8万人以上が受験した。政見放送と連動しており、受験者が一定数に達すると、新しい政見放送が追加される。

 “政党”らしいイベントとしては、10月7日まで「総裁選」を実施中。おぎやはぎ2人のどちらを総裁にするか、ユーザー投票で決める。総裁が決まった後は、毎月8の付く日に「党大会」を実施。「ラーメンを食べるときにメガネははずすべきか否か」などといった議題を議論していく計画だ。

「メガネへの愛情とこだわり」でブランド強化を

 同社が日本メガネ党の企画を通じて伝えたいのは“メガネへの愛情とこだわり”。「物を売ることを前面に出すと、メガネへの愛情やこだわりを表現できない」ため、あえて企業色を薄め、作る側も見る側も楽しめるコンテンツを目指した。

 プロモーションの目的は「メガネストアー」ブランドの再構築だ。「メガネ○○」という名のメガネ店は多く、創業30年経つメガネストアーも、消費者にその名が浸透し切っていないという。同社の売りである「メガネへの愛情とこだわり」を表現することで、イメージを構築していく。

画像 「当社はメガネのネット販売はしていない。メガネは体に直接付けるものだが、ネットでは度数の細かい調整などができないためだ。当社はメガネを愛しているので、ネット販売の予定はない」と本多さん。この日はコンタクトだったが、メガネももちろん使っている

 企業色が薄い企画ではあるが、メガネ党Webサイトの隅に「メガネストアーは日本メガネ党を応援しています」などと書いたり、党員試験に「メガネストアー」と答えさせる問題を入れ込み、さりげなくアピールしている。

 おぎやはぎさんが出演するテレビCMも同時に展開しているが、テレビCMに耐えるクオリティーの映像を製作するには、製作費が莫大にかかる上、CM枠も買わなくてはならずコストがかさむ。だがネットCMなら、テレビより荒い画質や音質でもOK。設置スペースとサーバさえ用意すれば、CMではまず不可能な、数分間の長時間動画も掲載できる。YouTubeを使えば、サーバを自前で用意する必要すらない。

 テレビCMが数百・数千万人単位の広範囲の消費者にリーチするのに対して、ネットのリーチは数万人単位と小規模だが、メガネに興味のある人限定でアプローチでき、費用対効果は高いという。

 ユーザー参加型のネットプロモーションは、方向を間違えると「炎上」につながる危険性もある。日本メガネ党は、露骨な企業色を出さず、参加する人に楽しんでもらえるよう配慮。「制作側も楽しんで作っており、楽しめなくなったらやめよう、と話している」という。「今後もいろいろな仕掛けを用意しているので、楽しんでほしい」

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