松下電器産業が10月27日発表した2006年9月中間期の連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前年同期比21%増の2074億円になった。薄型テレビやデジカメなどが国内外で好調で、厳しい価格下落も合理化努力で吸収した。
7〜9月期(第2四半期)の営業利益率は6.3%に上昇し、同社が通期の公約として掲げる5%を上回った。通期業績予想は9〜12月期(第3四半期)決算発表時に公表する。
就任以来初めて決算発表に臨んだ大坪文雄社長は「上期は7月公表予想を上回る実績を上げられた。グローバルに競争が厳しい中、商品とサービスが高く評価された結果だ」と話した。
売上高は前年同期比3%増の4兆3895億円と中間期としては過去最高。アナログ商品の販売減を好調なプラズマテレビやデジカメ、PCなどのデジタル製品が補い、白物家電やデバイス、家電との相乗効果が高まった松下電工も順調だった。
営業利益では、前年同期からの価格下落の影響が2000億円あまりに上ったが、合理化で約1900億円を補い、増収や為替効果、固定費削減で2割の増益を達成、16年ぶりの高水準になった。営業利益率は4.7%になり、通期目標の5%に近づいた。
税引き前利益は同51%増の2325億円。構造改革費用を計上していた前年同期から大幅増益となった。純利益は同79%増の1151億円だった。
・主な製品の売上高
製品 | 売上高(億円) | 前年同期比 |
---|---|---|
デジカメ | 953 | +72% |
プラズマテレビ | 2574 | +40% |
液晶テレビ | 1014 | +34% |
DVDレコーダー | 487 | -3% |
移動体通信 | 1342 | -33% |
大坪社長は就任以来、国内外の拠点20カ所を視察し、「技術の進歩の時間軸や市場性などが違う、多岐にわたる松下の事業領域の広さを再認識した」という。だが「市場の特性を理解して商品を作っていくプロセスは同じ。成功事例、失敗事例をもっと社内で共有できればさらに底上げできると確信した」と話す。
上期、プラズマテレビの価格下落は業界全体で2割に達した。これに対し松下製品の下落率は13%で、国内は「逆に3%上がった」(川上徹也副社長)という。だが年末商戦に向け「25〜30%は下げる見通しがある。当社もそう考えていかなければならず、そこがリスクではある」(川上副社長)とし、チャネルミックスや大型化で対応していく考えだ。
製品の価格下落は利益に数千億のレベルで影響しており、大坪社長は「来期以降、下落はますます厳しくなるだろう」と覚悟する。だが薄型テレビやデジタルカメラは今後も数量ベースでの成長を期待でき、BRICs諸国など新市場の拡大も追い風になる。これに加え、資材調達の効率化や、生産面の改良といった合理化に「知恵を絞りきる」しかないという。「学びながらもの作りを進めるしかない。それができれば価格下落を克服して成長できる」
携帯電話子会社のパナソニックモバイルコミュニケーションズは、海外事業からの撤退で売上高が同35%減の1796億円にとどまったが、営業利益は7億円の黒字に転換した。
大坪社長は「事業としては苦労しているのが実態だが、携帯電話はテレビと双璧のデジタル商品だ。NECとの協業で開発を効率化し、来年度以降、NTTドコモ向けでシェアトップを目指す。商品力、コスト競争力を高め、国内事業の強化の度合いを見て海外に進出するか、次の中期経営計画で決めたい」と話した。
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