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初のUSBワイヤレスハブ、ワイ・イーが発売

» 2006年11月01日 18時23分 公開
[ITmedia]

 ワイ・イー・データは11月1日、近距離用の無線通信技術「UWB」(Ultra Wide Band)技術によるUSBワイヤレスハブを、13日に同社Webサイトなどで発売すると発表した。UWBの国内解禁を受けて商品化した。同社によると、UWBによるUSBワイヤレスハブは国内初。PC側のアダプタとセットで販売し、同社サイトでの価格は3万9800円(税込み)。

photo UWBによるUSBワイヤレスハブ(左)とUSBドングル。「日本初としているが、おそらく世界初ではないか」(同社)

 PC側のアダプタとなるUSBドングルをPCのUSBポートに差し込み、4ポートのワイヤレスハブに外付けHDDやデジタルカメラなどのUSB機器を接続して利用する。ハブとドングル間はワイヤレスでデータをやり取りするため、通常の配線などが不要だ。

 ハブの電源は付属のACアダプタから供給する。利用にはPCにドライバのインストールが必要で、対応OSはWindows XP SP2。

 新製品はイスラエルのWisairと共同開発した。

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 USBの無線化では、IntelやNECなどが標準規格「Certified Wireless USB」の策定を進めているが、製品の認証作業の開始が年明け以降にずれ込みそうな情勢という。このためワイ・イーの新製品は同規格との互換性がなく、将来登場する同規格対応機器との通信は行えない。

 UWBによる転送速度の理論上の最高値は480Mbpsだが、現在の製品の実効値は30Mbpsほど。将来Certified Wireless USBに対応したり、PC内蔵化などが進めば100Mbps以上に高速化が可能としている。

 Certified Wireless USB対応製品は並行して開発しており、来年以降、同規格対応製品に切り替えていく。PC内蔵用のPCI-Expressカードなども順次投入するほか、HD映像をテレビにワイヤレス送信して表示するAV製品なども計画している。

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 同社は周辺機器メーカーやPCメーカーなどへのOEM販売が主力。現状では高価なためOEMの採用は難しいと見ているが、単価が1万円以下に下がると見られる来年以降に生産を本格化する考え。本年度は売り上げ1.5億円、来年度は15億円を見込む。

 UWBは、10メートル程度の近距離内で最大480Mbpsの高速通信が可能なワイヤレス技術。無線LANなどと異なり、広い周波数帯域を使うことで出力を抑えながら通信できるのが特徴で、同社のワイヤレスハブも病院内の診断装置などに活用できるという。

ワイ・イーの今期は売上高100億円を回復へ

photo 濱田社長

 東証2部上場の同社がこのほど発表した2006年9月中間期決算は、売上高は前年同期比32.4%増の54億2700万円、経常利益は同758.6%増の2億3600万円と増収増益を達成した。

 一方、液晶パネル製造工程などの管理に使うマーキングシステム部門の売り上げが減少するため、通期予想は下方修正した。ただ、同社の売上高は主力製品だったFDDの販売減などで一時低迷していたが、今期は5年ぶりに100億円を超え、113億円になる見通しだ。

 今期売上高見通しの57%を占めるのが、ワイヤレスハブなどの周辺機器を開発・販売するマルチメディア部門。FDDの落ち込みはメモリカードリーダー/ライターのPCメーカー向け供給などでカバーし、今後はキオスク端末向けリーダー/ライターやワイヤレスハブ、AV関連などの新分野を強化。濱田兼幸社長は「マルチメディア部門をいかに伸ばすかが柱になる」と話し、2008年3月期に売上高150億円・経常利益率10%を目指す。

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