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成長速度はmixiの倍・9カ月で200万人 携帯SNS「モバゲータウン」の強さ(1/2 ページ)

» 2006年11月24日 12時06分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 携帯電話向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が盛り上がり始めている。PC向けでは最大手のmixiは、携帯だけでも利用できるよう機能を追加。KDDIはグリーと提携して携帯向けSNS「EZ GREE」を展開する。NTTドコモは楽天と共同でオークション&SNS「楽オク」をスタート。ソフトバンクは世界最大のSNS「MySpace」を携帯対応させる計画だ。

 実は、携帯SNSにはすでに、mixiをしのぐスピードで急成長しているサービスがある。ディー・エヌ・エー(DeNA)のSNS&無料ゲーム「モバゲータウン」で、今年2月のオープンからわずか9カ月で会員200万人を突破。1カ月に25万人ずつ会員を増やしている。ゲームだけプレイするユーザーもいるためmixiのような純粋なSNSと若干性質は異なるものの、mixiは200万人突破に1年9カ月と3週間かかっており、単純に比較すると成長速度は2倍を超える。

 月間ページビューは10月の実績値で33億3000万と、mixiモバイルの同17億9000PVの約2倍。収入源はバナー広告とアフィリエイト広告だけだが、売上高は3カ月で4億円に達し、DeNAが「ポータル戦略の中核に位置付ける」と期待を込める事業だ。

画像画像 モバゲータウンのトップページ(左)とユーザートップぺージ

 モバゲータウンは利用無料の一般サイト(いわゆる勝手サイト)で、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDIの3G携帯ユーザーなら誰でも登録できる。日記や掲示板の作成、メッセージ送受信などPC向けSNSと同様な機能に加え、アバター作成機能、無料デコメールサービス、Q&Aサービスも装備。30種類以上の本格的なゲームが無料でプレイし放題なのも大きな特徴だ。

 無料ゲームに魅力を感じて入会し、オンラインゲームの対戦やゲーム内チャットで友達を作り、アバター付きの日記や掲示板でコミュニケーションを深め、毎日利用してもらう――こんな流れでユーザーを定着させ、急成長をとげた。

 ユーザー層は高校生が約40%で、年代別で見ると10代が約7割、20代が残り3割と、20〜30代中心のmixiよりも若い。男女比は6対4と男性の方が多い。コミュニティーも活性化しており、1日あたりの日記投稿数は15万回、掲示板投稿数は80万回、メッセージ送受信回数は250万回にのぼる(それぞれ9月の実績)。

ビジネスモデルは

画像 服や小物だけでなく、顔の「整形」もモバGで購入できる

 登録無料のモバゲータウンは、広告モデルで運営している。ゲーム内通貨「モバG」(モバゴールド)がビジネスモデルのカギ。モバGは、アバターアイテムを購入するのに必須で、入会時に300Gもらえるほか、友人を招待したり、広告をクリックしたり、スポンサーサイトに登録したり、提携ECサイトで買い物するともらえる。広告クリックで2G前後、スポンサーサイト登録で50〜300G前後が相場だ。友人招待なら300Gもらえる。

 モバGは現状、現金で購入することができないため、貯めるには多く友人を招待するか、スポンサーサイト登録や広告クリック、提携サイトからの購入を繰り返すほかない。「アバターを飾りたい」というユーザーの欲求が、集客と広告収入のドライブになる仕組みだ。

 トップページやメッセージの送信確認画面などにはバナー広告も掲載しており、男女別に広告を配信し分けている。企業がスポンサーするゲームも配信しているほか、SNS特有の広告として、商品やブランドのキャラクターがプロフィール(アバター)を持って日記を更新し、興味を持ったユーザーに友人登録してもらう、という商品も。ある広告企画では、友人登録したユーザーが6万人にも上ったという。

無料サイトのビジネス、PCがヒント

 サイトの企画を始めたのは昨年夏ごろ。オークションサービス「モバオク」や、携帯向けアフィリエイトサービス「ポケットアフィリエイト」に次ぐ新サービスとして、携帯ゲーム参入を決めた。番号ポータビリティ(MNP:Mobile Number Portability)を翌年に控え、キャリアを変えても使い続けてもらえる勝手サイトを構築することにした。

 勝手サイトは登録料収入に期待できず、キャリアトップページからの誘導もないためユーザーを集めるのは至難。キャリアの制約なしに自由に構築できる反面、ビジネスモデル構築が課題だった。

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