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自由の鐘を鳴らそう――IT幹部への提言

» 2006年12月04日 15時41分 公開
[Eric Lundquist,eWEEK]
eWEEK

 あなたの会社はフラット化しているだろうか? 生き残れるパラノイアだろうか? 幹部はオフィスを歩き回ってマネジメントしているだろうか?

 こうした表現は、常にコンサルの用語集に太字で印刷されている。だが、ディルバートのネタの常連であることはさておき、こうした用語は結局ただの言葉であって、行動ではない。

 だが、コンシューマーのソーシャルテクノロジーの力がこれまでになくビジネスに広まってくるにつれて、ゲームをやらずにゲームを語ることができた時代は終わろうとしている。

 eWEEKのエグゼクティブエディター、スタン・ギブソンは、企業におけるWiki台頭の経緯を書いた。ブログ、ポッドキャスト、ビデオキャスト、SNSの世界にWikiを加えれば、幹部が従来の上意下達の方法で会社を管理することはできなくなるだろう。そんなふうに考えるのはわたしだけではないのだ。

 ドン・タプスコット氏は、アンソニー・ウィリアムズ氏との共著「Wikinomics: How Mass Collaboration Changes Everything」(12月に出版の予定)で、マスコラボレーションがいかにしてすべてを変えるかを語っている。

 タプスコット氏はこう書いている。「賢明な企業は巨大なオンラインコミュニティーの急激な成長と敵対せずに、むしろ支持している。そうしたコミュニティーの多くはWebの周辺部から浮上し、一夜にして何千万もの参加者を魅了している。熱心な競合同士でさえ革新的な科学研究で協力し、その産業での発見を促進している。実際、ますコラボレーションの利点に着目する企業は増えている。この新たな組織構築方法は、従来の企業組織に取って代わり、経済における富の創造の基本的原動力になるだろう」

 この文章は、すぐにでも起きる大変革への期待でやや興奮し過ぎではあるが、タプスコット氏はいいところをついている。同氏はかつてその著作「The Digital Economy: Promise and Peril in the Age of Networked Intelligence」(1997年、邦題:デジタル・エコノミー―ネットワーク化された新しい経済の幕開け)でその先見の明を示している。

 そして今回、企業世界に訪れつつある変化は、「従来の命令系統ピラミッドを破壊しようというフラット化する企業」や、「常に出し抜こうとする競合に備えるパラノイア企業」といった概念とは大きな違いをもたらすだろう。

 今回はユーザー主導で、IT幹部は自分の会社の構造ではこの新しいゲームに参加できないことについていろいろと言いたいことがあるだろう。

 あなたがIT幹部であれば、全社的なWikiの導入計画を立てるといい。さもないと、会社のセキュリティ範囲外でホスティングされている無料のWikiを社員が使い始めるのを見ることになるだろう。

 会社としてポッドキャスト、ブログ、ソーシャルネットワークの機能を整備しなければ、社員は外部の代替ツールを使うことになるだろう。あなたは、代替ツールよりも堅固な会社のWiki、ブログ、ポッドキャストを提供するIT幹部になることもできるし、社員や顧客、業者が流す自分の会社や業界に関連する大量の情報を見つけ、監視し、削除するデジタル警察になる道を選択することもできる。

 ここで提案なのだが、IT幹部は技術を制限するより導入すべきだ。会社をソーシャルなマスコラボレーションツールのユーザーの先端に立たせる戦略を立てることは、あなたとあなたのキャリアにとって、そして会社にとってメリットとなる。

 これから年末にかけて、Wikipediaの仕組みやFacebookとは何か、アバターになって参加するSecond Lifeやその関連サイトにはなぜ根強い人気があるのかなどを理解することに時間を費やすべきだ。

 その次の段階は、こうしたソーシャルアプリケーションがいかに会社にメリットを与えるかを説明できるように、会社の事業を十分に理解することだ。こうしたアプリケーションの使用を促進しなければ、社員は勝手にほかの手段を見つけてくるだろう。

 次に求められる企業環境にとって重要なアプリケーションは、会社に関連するすべてのソーシャルアプリケーションを見渡せて、次のようなシンプルな質問に答える管理ツールだろう――顧客は当社についてなんと言っているだろうか? うちのブランドはどう認知されているだろう? ライバル会社はうちにないどんなものを提供しているだろうか?

 そんなアプリケーションが登場するまでは、そうした答えを出す議論につながる情報を与えてくれるソーシャルアプリケーションを提供するかどうかは、あなた次第だ。

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